〔仮説社PublicRelations〕No.125

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〔仮説社PublicRelations〕No.125
2013年2月15日 http://www.kasetu.co.jp/
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★目次★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

☆紹介されました!
☆新刊
☆新製品
☆増刷
☆書評 科学史と科学教育を結びつけた快著

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こんにちは。
バレンタインデー&煮干しの日も終わり,仮説社は来週の『たのし
い授業』3月号の締め切りに向けて,少しずつ慌ただしくなってき
ています。
今号は嬉しいお知らせがいっぱい。
少し長文ですが,ぜひ,最後までお読みください。

それでは,〔仮説社PublicRelations〕125号をお届けします。


☆紹介されました!
 小林眞理子著『煮干しの解剖教室』(仮説社)を読んで書かれた
読書感想文が,第58回全国読書感想文コンクール小学校中学年の部
毎日新聞社賞を受けました。
 その感想文が,2月9日の『毎日新聞』の「余録」に紹介されま
した!
http://mainichi.jp/opinion/news/20130209k0000m070125000c.html


 安野光雅「逢えてよかった」(34)『週刊朝日』(2月22日号/
18日発売,今週号です)に板倉聖宣先生が登場しています。
 『かわりだねの科学者たち』(安野さん装丁)の画像も掲載され
ています。


☆新刊
 ガリレオ著/板倉聖宣訳『望遠鏡で見た星空の大発見』(税込
840円)と宮地祐司『サイフォンの科学史』(税込1890円)は,と
もに発売中です。大きな書店なら並んでいるはずです。


☆新製品
・「アニマルクリアフォルダー」が入荷しました。
 動物のシルエットが印刷してあるクリアフォルダーです。クリア
フォルダーの中に紙を入れると,骨格のみが浮かび上がります。税
込210円です。(クジラ,サメ,コウモリ,ペンギン,イヌ,ニワ
トリ,カエル,人間,ネコの9種)
・「簡易霧箱セット」は,放射線を見ることができる霧箱のセット。
 このセットとドライアイスとアルコールがあれば,放射線を観測
することが出来ます。
 放射線源として「ラジウムボール」が入っています。税込1680円
です。


☆増刷
 『ものづくりハンドブック5』(税込2100円)を増刷しました。


☆書評 科学史と科学教育を結びつけた快著
宮地祐司著『サイフォンの科学史』(仮説社)
                2013.01.15   池 上 隆 治

 暮れも押し迫った12月28日(2012年)。郵便受けに1冊の本が届
けられました。12月20日に出版されたばかりの宮地祐司著『サイ
フォンの科学史』でした。サイフォンというのは,水槽などに入っ
ている水を水面より高いところに一度上げてから下に流すという不
思議な管のことで,金魚鉢を傾けずに水を外に出す時などに使われ
ていて,子どものころに遊んだ人も多いのではないかと思います。
宮地さんが以前からサイフォンに関する授業書を作り,その授業書
をもとに各地で授業が行われていたことは知っていたのですが,サ
イフォンの原理の「350年間の間違いの歴史と認識」について研究
しているとは全く知りませんでした。年末はいろいろ片付けをしな
ければならないので,正月の楽しみにとっておこうと思いつつどん
なことが書かれているのかなと思ってパラパラと中を見てしまいま
した。ちょっとだけのつもりが,この本にグイグイと引き込まれて
しまい。暮れの計画はおじゃんになってしまいました。

 さて,この本は書名が「サイフォンの科学史」となっています
が,一般の科学史の本と大きく異なる点があります。それは,1部
科学史と2部の科学教育(これを使えば誰でもが楽しく科学の授
業ができるという「授業書」の紹介)の二つの部分で構成されてい
る点です。

 宮地さんは書いています。
  こういう人間の認識の間違いの歴史を明らかにするのが科学史
の役割でしょう。しかし,その歴史を明らかにするだけでは,ま
だ,仕事としては半分です。それを,多くの人間が間違わないで認
識できるように変えていくことができなければ,意味をもたないで
しょう。それは教育の仕事です。(121ぺ)
 このような〈科学史と科学教育を結びつけようとする〉広い視点
を持っている宮地さんだからこそなし得た成果がこの『サイフォン
科学史』です。

 1部のサイフォンの科学史は,推理小説のようです。推理小説
もその手法はいろいろありますが,この本は刑事コロンボの手法が
採られているといったらいいでしょうか。
 刑事コロンボでは,犯人はあらかじめ分かっています。犯人は分
かっていますが,コロンボが犯人のアリバイを一つ一つ崩して行く
というところに面白さがあります。
 この『サイフォンの科学史』はどうでしょう。
 どうしてサイフォンは,水面より一旦高く水を上げることができ
るのか,通説では「大気圧が水を押すことでサイフォンが作動す
る」という大気圧説なのですが,この「サイフォン大気圧説の間違
い」を最初に明かしてしまいます。では,どんな謎解きが行われる
のでしょうか。それは,その間違いが350年間どうして放置されて
きたのかという謎解きです。細かな証拠調べ,そして,間違いが続
いた核心部分が明らかにされていきます。
 「大気圧説がどうやって誕生したのか」
 「大気圧説がどうして広まったのか」
 「正しかった〈大気圧否定説〉がどうして認められなかったのか」
一つ一つアリバイが崩されていくように謎が解明されていきます。
 そして,核心はなになのか。それは,直接読んでいただくことに
しましょう。
 さらに,その間違いの歴史が遠い過去のできごとではなく,まさ
に現在進行形であり,読者である私たち自身が歴史の当事者でもあ
るのです。
 また,一般に「科学的に考えること」とは,「論理的に考えるこ
と」と考えられていますが,「科学的に考える」とは「論理的に考
える」こと以上に重要なことがあることをこの本からつかみ取るこ
とができるでしょう。
 サイフォンという誰でもが実験しようと思えばすぐに実験できる
もので,これほど深い科学的認識について体験できることは,宮地
さんの目の付けどころの良さでしょう。
 次に,2部の科学教育では,一転してサイフォンの原理の間違い
の歴史を追うことはせずに「〈鎖モデル〉によってサイフォンの原
理を理解し,サイフォンという道具を自分で使えるようにする」
「水分子どうしの分子間力を〈水分子の鎖〉というイメージで実感
する」「サイフォンのものづくりや体験を十分にたのしむ」という
ねらいで作成された「授業書」が紹介されています。
 科学教育とは,科学の知識を単に覚えることではなく,授業を受
ける一人一人が主人公になり科学者になったつもりになって頭を働
かせ,科学を楽しみ科学的に考えるとはどういうことかを体験する
ことでしょう。科学史と科学教育の結合は,単に科学史をなぞるこ
とではないということがよく分かります。

 『サイフォンの科学史』は科学史をどう科学教育に活かすかを示
した好例と言えるでしょう。
 ぜひ,一度手に取って読んでみてください。<><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><><>
○後○記○
今号もお読みくださりありがとうございました。
仮説社の売れ筋商品に,「世界一美しい周期表したじき」というも
のがあります。
去年の10月,2012年に名前の決まった元素を追加し「したじき」
を増刷したのですが,新版発売後,誤植があるとお客さまからご指
摘をいただきました。
裏面の文字がびっしり並んだうちの一文字だったのですが,反省と
ともに,そこまで読んでいただいているということが,とにかくあ
りがたかったです。
そしてそのご連絡をくださったのは,なんと小学生の男の子でした。
ただただ,頭が下がるばかりです。
現在新版第2刷を重版中なので,新しい「したじき」ができたら,
教えてくださった男の子にお送りしたいと思います。

ではでは,また次号で。ありがとうございました。
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ます。
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てみたいと考えている方に,弊社の新刊情報を少しでも早くお知ら
せできたらと思い,このようなメールマガジンを発行しています。
そのほかにも,『たのしい授業』の情報,新しい実験器具やおも
ちゃの情報もいち早くお伝えできればと思っています。当メールマ
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