〔仮説社PublicRelations〕No.207

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〔仮説社PublicRelations〕No.207
2015年10月21日
http://www.kasetu.co.jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★目次★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

『たのしい授業』8月号の反響
 「編集委員のおたより」を中心に(後編)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 『たのしい授業』について,毎月,主に編集委員からですが,た
くさんの感想をいただいています。でも,『たのしい授業』の「編
集委員会ニュース」欄で紹介できるのは,スペースのつごうで,ご
くごく一部。そこで,このメールマガジンで,そのほとんどの部分
をご紹介させていただいています。
 今回は,8月号の反響(後編)12人分のおたよりを紹介しま
す。かなり長文です。
 引っ越し騒動で,大変遅くなりました。すみません。
 なお,「おたより」は原則として原文のままです。表記などは統
一していません。



◇◇◇ 2015年8月号「楽しさに国境はない」 ◇◇◇


●樋口みどり(広島・ヨガ講師)
◆8月号で一番びっくりしたのは,萠出さんの「泥の実験」です。
「動植物の種子が混入しない限り,草一本,蚊一匹飛ばない」……
知識としてはわかりますが,本当に実験され,わかりやすく解説し
てあったので,よかったです。簡単だけど,すごい実験。
 最後の萠出さんの言葉,「自然発生説を楽しむくらいの余裕がな
ければ,それを否定する強力な仮説を自分のものにはできないよう
な気がします。強力な仮説なしに実験を重ねても科学は生まれない
でしょう」というのがステキです。
◆また,伊勢革観さんの「料理人から先生へ」も興味深く読みまし
た。噂できいていた伊勢さんの料理人の時のこと,意欲,主体的に
動く,息を合わせるなど,なるほどです,続きも期待してます。
◆由井宏幸さん「ひとつかしこくなりました」も仮説実験授業だか
らこその言葉ですね。予想がはずれても「ひとつかしこくなりまし
た」……心からそう思います。私も,「予想をタテても不安な人た
ち」に,そう伝えたいです。
◆四ケ浦弘さんの「金の5gバーを飲み込んだ話」は,あーっ,あ
の飲み込んだ人って,仮説の人だったんだ〜とオドロキでした。テ
レビを見ていて,すごい人だなこの人は,とおもっていたら,なん
と……。
 2回も飲み込まれてたのですね。毎回のトイレ,ドキドキでした
ね。なんだか楽しそうです。
 ブラタモリもとってもよかったです。
◆亀川純子さんの「試験管の中に地球の中身が見えた」も感動的で
す。実際,見るといいのだろうなと思います。
◆宮地仁美さんの「1ねん1くみいっぽいっぽ」の校内放送。こん
な放送はいいですね。注意よりも笑顔になる放送。いつも心がけた
いものです。
◆板倉先生の「正義でなく真理を」は,「いろいろな考え方があ
る」という言葉が重いです。

●藤井幹二(大阪,小学校)
 夏休みなので,1日中じっくり今月号を読みました。
◆心に残ったのは,田中さんの「定時制高校と仮説実験授業」。定
時制高校の先生達が,さまざまな場面で目配り・声かけをしたこ
と,授業の工夫などがあいまって,90%前後の卒業率にまでなる
なんて! 改めて「学校ってこうあるべきだよなあ」と感心しまし
た。また田中さんの「仮説実験授業をやり続けることで,生徒さん
達から信頼してもらえる大人として存在し続けたい」という文に,
身が引き締まる思いです。
◆七里さんの「Into the Wild」も興味深かったです。特に「干し
いも日記」には唖然としました。「この管理的な教育を良いとは思
えない」と素直な気持ちを伝えた綾乃さんに対して,「指導員に盾
突いた!」って……「おいおい,そりゃないだろッ」と。思わず
ツッコミました。
 すごくツライ思いをされたのに,「人を大切にしたい気持ちが強
まった。不器用な人,弱い立場の人にこそ愛を」という文に思わず
ウルッときました。僕自身,こういう考え方の先生達にものすごく
助けられたことを思い出したからです。

●市原辰徳(東京・小学校)
◆「たのしさに国境はない」という特集名を見て,単純に「海外で
の実践の紹介かな?」と思ったのですが,いろんな国境があったよ
うに思います。職業の国境,時代の国境,学習指導要領の国境,職
員の国境など,自分なりに勝手な想像をして,「国境をこえる」と
いうことを考えながら読むことができました。
◆「マレーシアの孤児院で《空気と水》」清野いずみさん,清野結
大君
 まず最初に,バドミントンの合宿でマレーシアに行く予定だった
のに,そこでボランティアもしようと考えるのがすごいなぁと思い
ました。その上,仮説実験授業をやってみたいと思えるなんて,素
晴らしいことですね。
 そのきっかけになったのが,大会でであった仮説の世界だったと
いうこと。誰がどんなふうにして影響を受けるのかは分からないも
のだなぁと思いました。
 孤児院の子どもたちの年齢は幅広く,しかも日本語が通じない。
こういった状況の中で,どんなふうに仮説実験授業をやるのだろう
かと興味深く読み進めていきました。
 授業の様子を見て,子どもたちも最初は何がなんだか分からない
といった感じだったのが,だんだんと授業書の世界に引き込まれて
いく。自分の予想があっているのか,ワクワクして実験の結果を見
ている,スポイト競争で夢中になっている。たのしさが伝わってき
ました。
 最後の感想に書かれていた「とても幸せな一日でした」という言
葉が,いろいろなことを想像させてくれました。
 まさに,「楽しさに国境はない」という記事でした。
◆「料理人から先生へ」伊勢革観さん
 料理人になりたいと思ったきっかけが「料理の鉄人」に憧れてと
いうのは,誰にでもあることかもしれませんが,そこからバイト生
活などを始めて,現実のものにしていこうとするのがいいですね。
 そのあと,〈つるが〉でさらに憧れの気持ちを高めていく流れ
や,自分が進歩していく喜び,やはりこういった気持ちが人を成長
させていくんだろうなぁと思いました。
 しかし,「きびしい競争社会の中に」に書いてあるようなこと
も,もしかするとどんな職業でも味わうことなのかもしれません。
そして,人間関係においての悩みも,同じようにいろいろことに共
通しているような気がします。
 「本当はこんなはずじゃなかったのに」という思いは,もしか
するとその後のことを考える良いチャンスなのかもしれないです
ね。
 料理人か教員かで迷いつつ,結局小学校の講師を始めることに
なった伊勢さんでしたが,「あ〜結局オレは学校の先生になるのか
よ〜」とスパッと決められたわけではなかったんですね。
 先生になったシアワセが〈仮説実験授業〉との出会いとあるので
すが,どんなふうにして夢中になっていったんでしょうか?イヤ〜
な経験も何度もしましたとあるのですが,どうやって乗り越えて
いったのでしょうか?
 今回の記事は料理人から先生になるところをメインで書いてある
のですが,次はぜひ先生になってからの現実やなって良かったと思
えたエピソードなどを詳しく知りたいなぁと思いました。
◆「1ねん1くみ いっぽいっぽ」宮地仁美さん
 一休君からの電話のお話で,さみしくなったから電話し たとい
うのが,ほのぼのしててとても良いなぁと思いました。
 電話したいなぁと思ってすぐ頭に浮かんだのが,宮地さんだった
んですね。さらに,公民館の実験がいつあるのかを聞くなんて,授
業でとても良いイメージがあったんだなぁと分かりました。
 もっと実験がしたいと思える授業を実現できているというのは,
先生という職業をする上で大きな喜びです。
 校内放送のお話で,職員だけに確認するとかではなく,校内放送
で全校のみんなにお知らせするというのがとても良いなぁと思いま
した。
 校内放送なんて,お知らせや呼び出しに使われるというイメージ
しかなかったので,こういった使い方もあるんだなと新しい発見を
したようでした。
 もう一つ素晴らしいな〜と思ったことが,職員室に戻ったとき,
たくさんの先生から拍手をもらったというところです。
 こういったことに気が付いて,声をかけあえる雰囲気というのが
良いなぁと思いました。
 お互いの良いところを伝え合えるっていうのはステキな循環がお
こりそうです。
 せてもらえた心あたたまる記事でした。
◆「日本の科学教育の歴史から学ぶ」山路敏英さん
 前回に引き続き,今回の内容もたのしみにしていまし た。
 なぜ,今やっている理科の内容を学習することになっているのか
なんて考えたこともありませんでした。
 こういった根源的な疑問についてまとめてくれているというの
は,とても興味深いです。
 「教育勅語」に何が書かれているかということも,今までの人生
で調べたこともなければ,なんだろうとも思ったこともありません
でした。
 「天皇国家主義」と「家族主義」というのは,いったいどんな
ことをやるんだろうという感じですが,きっとこの時代の日本の現
状を反映したものだったんですね。
 日本で理科という教科が設けられたのは,1886年の小学校令が
最初ということも始めて知りましたが,今までの自然科学教科の配
当時間と比べて大幅に減少させられたというのも驚きました。
 これもまた,日本の現状を表しているからなのでしょうか。
 理科の目標として「近代科学の物質観・科学観を教えずに,自然
現象や機械器具についての断片的な教育だけをするようにした」と
あるのですが,どうして福沢諭吉のころと大きく変わったのでしょ
うか。
 そのあとに書かれていた橋本さんの感想がとても分かりやすくま
とまっているなと思いました。明治の時代に日本の教育が大きく方
向転換した時代があったということが分かりました。だからこそ,
今でもその人たちの伝記が語り継がれているんだなと納得しまし
た。
 現在行われている理科は,未だに伝統を受け継いでいるというこ
とからも,何かを変えたりやめたりするということは,ものすごい
労力なんだと分かりました。
 考えてみれば,今の学校教育も,昔からやってることをそのまま
引き継いでいるのがほとんどと言っていいかもしれません。
簡単には変えられない。だからこそ,簡単に変わるようなものや流
行はとてもあやしい。
 何十年も続けられている理科の教育とは全く異なる角度の仮説実
験授業。そりゃぁ簡単に受け入れられるはずがないよなぁと改めて
思いました。
 でも,変わらないのが教育であり,変わるのが教育です。
 明治の時代に大きく方向転換した理科教育。もしかすると,平成
の時代に大きく方向転換するのが仮説実験授業かもしれない。そん
な勝手な想像をすると,時代の変わり目に自分がいるとワクワクし
てきます。
◆「正義ではなく真理を」板倉聖宣さん
 まず最初に目にとまったのが,「仮説実験授業というのは正義を
教えるんじゃなくて真理を教えることを意図しているものです」と
いう文章です。
 今の学校教育は正義とか善意とか,そういったもので動いている
ことが多いような気がしました。それが正しいかどうかなんて証明
されたわけではないのに,あたかも絶対に正しいというような感じ
でやっていることって結構あるなと思いました。
 仮説実験授業の考え方をというものについて,もっと知りたいな
と思いました。
 「正義ではなく真理を教えるのが授業書」という中にある文章で
「こういう種類の問題はいろんな考え方があるよということをまず
教えなくちゃいけない」というのも,学校というのは,「これが正
しい。こうあるべきだ」と一つの考え方で突き進むようなところが
あります。
 そういったイメージをくつがえしてくれる板倉さんの文章にハッ
とさせられます。そうありたくないなぁと思いつつ,なんとなく現
場の常識にハマっていってしまっている気がしますが,哲学的な内
容で,違った角度から考えさせてくれる文章です。

●高木仁志(街角かがく倶楽部:瀬戸)
◆清野いずみさんの「マレーシアの孤児院で〈空気と水〉」は,仮
説実験授業が世界の子どもたちを楽しませる可能性を知らせてくれ
て,うれしかったです。授業中に子どもたちが発する「Change
glass!」とか「Yeah, yeah, No Water!」といった英語で発言
している場面では,英語が得意でないボクにも子どもたちの気持ち
がまっすぐ伝わってきてよかったです。授業後の評価も高く,「I
realyenjoy with today activities! I very very enjoy.」という
子どもの感想もうれしいですね。ボクも一度,このような外国の子
たちへの授業もしたくなりました。
◆田中一正成さんの「定時制高校と仮説実験授業」は,田中さんが
生徒さんたちに「今までの学校とは違う」と感じてもらうために,
仮説実験授業を信頼し,熱心に取り組んだ結果,子どもたちの変化
が表れて,田中さん自身「すごいことが起こった」と確かな手応え
を感じていました。ここ数年《爆発の条件》の授業書づくりなどで
活躍する田中さんの原点みたいなことを知ることができ,うれし
かったです。
◆それから,木村妙子さんは「見ることと描くこと」として,大学
の生物資源学部の学生さんたちにキミ子方式で生物のスケッチの授
業で喜ばれていることをキミ子さんに感謝して報告されています。
学生さんたちが集中している様子やその絵などを見て,「涙が出て
くることもよくありました」と。授業に集中する姿の美しさを感じ
取らせてもらいました。
◆伊勢革観さんは仮説実験授業を通して,「料理人のシアワセ」か
ら「教師のシアワセ」の道に進んでいる人です。きっと伊勢さんは
料理人としてもステキな道を歩まれたのでしょうが,これからは教
師としてもステキな世界を歩んでくれる,そういう期待感を感じさ
せてもらいました。授業で伊勢さんが白衣姿でタコをさばいて子ど
もたちに刺身にして食べさせて上げたときの,子どもたちの満面の
笑顔での「うまい! うまい!」の言葉がボクにも聞こえてきそうでし
た。
 他の記事でも,◆モダシさんの「泥の実験」や,◆四ヶ浦さんの
「金の5gバーを飲み込んだ話」などたのしい記事がいっぱいでし
た。緑のページでの◆七里さん夫妻の「Into the Wild 小学校って
シ・ゲ・キ・テ・キ」も毎回,どきどきしながら読んでいます。
 改めて,『たのしい授業』という教育雑誌の幅広さを感じさせら
れました。

●岡本賢司(徳島・小学校)
 心に残ったものを5つ挙げました。
◆「日本の科学教育の歴史から学ぶ」山路敏英さん
 7月号から続きを読むのがたのしみでした。今,仲間のひとりが
理科の研究会での「発表」に苦労している様子を見ながら,「どう
してこんなに細々とした制約が出てくるのだろう…」と考えていた
ところでもあったので,今月号の内容はとてもタイムリーでもあり
ました(「発表」の方は,〈研究の在り方〉そのものの問題でもあ
るのですが…)。
 「教育勅語」と「理科」の関連を知り,現在の理科の指導要領に
ずっと違和感をもっていた理由が見つかったような気がします。
「仰せ出され書」の立場が継続されていれば,日本の科学教育は今
とはずいぶんちがったものになっていたかもしれませんね。
◆「正義でなく真理を」板倉聖宣さん
 わたし自身がとてもカッカとしやすい人間なものですから,余計
に「真理を求める」姿に憧れます。仮説実験授業に魅力を感じ続け
ている理由の一つはそこにあると思っています。今の政治状況にも
ついついカッカとしてしまいますが,その一方で「国や憲法という
ものについて,きちんと学びたい」と考えてもいます。これも,仮
説実験授業に学んできた成果なのでしょう。
◆『試験管の中に 地球の中身が見えた」亀川純子さん
 「地球の中身」ってとても興味があります。PVAをつかった模
型実験,やってみたいです。
◆「校内放送」宮地仁美さん
 学校の中に「あたたかい空気」を送り込める,「常識」をちょっ
と変える行動ができる人ってステキだなあと思います。
◆「料理人から先生へ」伊勢革観さん
 学生時代のアルバイトを除いて,学校以外の世界を知らないわた
しにとって,「職人」の世界はあこがれです。教員の世界にも「職
人的な要素」や「職人気質」があることを教えてくれたのは,故人
となった新居信正さんや後藤田明孝さんでした。
 「仮説実験授業の根底には,〈教師としての生き方〉のエッセン
スが流れている気がします。ちょっとかっこよく言うと,〈教師と
して自分らしく生きていく思想〉があるのです」というところ,う
なずきながら読みました。
 伊勢さんと仮説実験授業との出会いについて,またどこかで話を
うかがいたいなぁと感じました。
◆その他,「ドラミングキツツキ」は簡単にできそうなので,2学
期に科学クラブでとりあげたいと思いました。

●長沼麗子(茨城,会社員)
◆イントゥザワイルド
 干しいも日記に力づけられます。闘いながら強くなっていくあや
のさんの姿が生き生きと想像できます。次回もわくわくしながら楽
しみにしています。
◆料理人から先生へ
 シアワセな職業人生について深く考えさせられました。仕事を覚
える楽しさ,技術向上の喜び,人から喜ばれるうれしさ,やり遂げ
た達成感や満足感などなど,また,人と人とのつきあいをもっと
もっと大切にするとそこからさまざまな学びや発見,感動があるの
だなあと思いました。親方さんや二番手さんと交わした会話の中に
ステキな言葉がたくさんありました。わたしも今の仕事にヨロコ
ビ,楽しみ,シアワセを感じながら毎日過ごせるよう受け止め方,
見方,発想法等駆使していきたいと思います。
◆見ることと描くこと
 楽しくスケッチができて生物の見方も身につくなんて,キミコ方
式は応用範囲の広いすばらしい描き方だと,あらためて感じまし
た。33ページの大学生のスケッチを拝見し,おおっと感動しまし
た。
◆金の5gバーを飲み込んだ話
 ドモリと対人恐怖症のお話が強く印象に残りました。人前で話す
のが苦手な私は,今も失敗ばかりしています。四ヶ浦さんの経験,
努力を参考に私も克服に努めていきます

●栗原正治(群馬・小,教頭)
 8月号で良かった記事は
定時制高校と仮説実験授業(田中一成
 定時制という学校(職員室)の常識から考えるとやりにくい環境
が,かえって生徒の方を向き,たのしい授業をやるためのチャンス
だったと思います。また,見た目の状況だけで止めてしまうこと無
く,やり続けたということも成果や授業者の自信につながったと思
います。まさに「力×時間=力積」ですね。
◆「見ること」と「描くこと」(木村妙子)
 「よく見なさい」といっても,見方を知らなければ,「見れども
見えず」です。見方を知ってもらうために見方の具体例がはっきり
としているキミ子方式のスケッチを活用したという実験もスバらし
いと思います。具体的な手立てがはっきりとしていることが授業に
おいてとても大切なことを再確認しました。
◆日本の科学教育の歴史から学ぶ(山路敏英)
─ その2
 先月に引き続き,日本の科学教育史の変遷は,まったくボクのイ
メージしていたものと違いました。理科と科学の違いは,単に名前
だけ出なくて,根本的な考え方が違うということがよ〜く分かりま
した。
◆正義でなく真理を(板倉聖宣/編集・解題:平賀幸光)
 この文章が,20年以上も前のものとは思えないほど,現在の状
況に合っています。意識するしないに関わらず,つい正義を教えた
くなってしまいますが,冷静に真理を伝えていくことの大切さを再
確認しました。
◆泥の実験(萠出 浩)
◆金の5gバーを飲み込んだ話(四ヶ浦 弘)
 この二つも大変興味深く読みました。何となく思っていたことを
こうして実際に確かめてもらうと,そうなんだと納得できます。
 萠出さんの泥の実験は結果を知っても,よって立つ仮説によって
全く逆のとらえ方になってしまいます。面白いだけに,生物の自然
発生説の間違いを納得できる実験もあるといいなあと思いました。

●荒川康夫(埼玉・小学校)
 8月号で印象に残った記事は次の5つです。
◆伊勢革観さんの「料理人から先生へ」
 先生以外の職業のことをこんなにたくさん書いてくれて,とても
興味深かったです。
 伊勢さんが板前を通して仕事の極意=意欲,主体的に動けること
という哲学を引き出していくところが素晴らしかったです。そして
これを仮説実験授業をする教師の仕事に置き換え今もたのしくしご
とをしているということが良かったです。そして新たな仮説実験授
業の概念「教師として自分らしく生きていく思想」も引き出しまし
た。
◆萠出浩さんの「泥の実験」
 「いくら栄養豊富な肥料を使ったとしても虫や植物は自然発生し
ないだろう」という仮説で萠出さんは実験を始めます。いくら低温
でも自然の状態なら種や卵が混入されていて泥水の中からも生命が
誕生するという実験を丁寧に行ったことが報告されています。生物
学者でこんな実験をやった人はいるのでしょうか。生物は栄養だけ
では自然発生しないということを証明するいい実験だったと思いま
す。生物はいくら洪水があっても嵐が起こっても,地中に種や卵や
幼虫をどこかに残し命をつないでいくものなのですね。
◆四ヶ浦弘さんの「金の5gバーを飲み込んだ話」
 「金は呑み込んでもなくならない」ということを証明するために
本当に飲み込んだ人がいるなんて初めて知りました。大正天皇が病
気を治すために「金を飲んだ」という話は聞いたことがあります
が,こんなに大量の金を飲むなんて驚きでした。金はやはり王様で
すね,胃酸にも解けず形も変わらずということは。
 すごいことをしたというか「えらいことをやったなあ」と思いま
した。淡々と語っているところもいいですね。それにしても最初に
飲み込んだ5g(当時1万円相当)はどこに行ったのでしょうね。
◆宮地仁美さんの「1ねん1くみいっぽいっぽ」
 「校内放送」のところがよかったです。校内放送や朝会で教師か
ら呼びかけることは「よくないこと」や「あぶないこと」への指導
伝達が確かにおおいです。「〜しないようにしましょう」「そうい
うことはやめましょう」などなど。いいことは「賞状を渡す」こと
ぐらいですね。「名前を知らない同じ学校のおねえちゃんがよくし
てくれたからお礼を言いたい」というお母さんの話から校内放送で
呼びかけてお礼を言うなんて,なんかとてもいい話ですね。
板倉聖宣さんの「正義でなく真理を」
 「正義の味方」「正義のために」など正義のことを言うとなんか
格好いいですね,同時にすごく疲れてしまうところがあります。正
しいかどうかは立場によって変わってくるのだから真理とは言えな
い。この真理だけを教えよう,授業書にしようというのが板倉さん
の考えですね。
 正義は怖くて危ないものですね。そのことを考えるいい論文だと
思います。

佐々木邦道(千葉・小学校)
◆1.料理人から先生へ
 これは,読み応えのある文でした。自分も料理に興味があるから
かもしれませんが,アルバイトの様子が目に見えるようで,そし
て,どんどんと伊勢さんが料理の世界に引き込まれていく感じが見
て取れました。しかし,独り立ちするのも,やはり大変な事なので
しょうね。二番手さんの言葉がなかったら,人生が変わっていたか
もしれませんね。
 でも,かけ算九九でにぎり寿司,そして,タコをさばいてしまう
なんて,授業書とはほど遠い世界ですがとても楽しい授業になった
のでしょうね。そういった技術があ って,うらやましいなあ…。
◆2.日本の科学教育から学ぶ
 明治初期に出された「仰せ出され書」が個人主義だったのに対し
教育勅語国家主義と家族主義に変質していった歴史。その中で
生まれてきた教科が「理科」だったこと。〈科学と理科とはちが
う〉という観点をこれからも持ち続けたいと思いました。
◆3.正義でなく真理を
 これは,たしか,北海道で大会が開かれたときの文章だったので
はないでしょうか。領土問題には私も関心があるし,「国家とは何
か」という問題を調べていきたいと現在思っています。『ものとそ
の所有』の中に,国境の話が入っているのでしょうか?
 ミニ国家の成立を調べていくと「国家の概念」がわかってくると
思い,本を読み出したのですが,全然まとまらずじまいです。世界
のミニ国家を調べていくと,国家の概念に到達するという考えは方
向性としてどうなのでしょうか? 国家について,もう少し調べて
いきたいです。

●中村 文(福岡・小学校)
◆ひとつかしこくなりました(由井さん)
 大芽君のアルバムの文章,また3・4年の時の感想がとてもいい
なぁ〜と思いました。そして,資料最後の〜おまけ〜の部分がとて
も好きです。
 実は,私も板倉先生のあの文章はとても好きなんです。特に「あ
れは楽しかったなぁ。あの時はオレはできたんだ。やればできるん
だ」と思って忘れちゃうという部分に関しては,自分もそうだった
から!と思うんです。
 私は,学生時代仮説には出会ってはいませんが,かなり学生時代
に「楽しかった!やればいろいろできた」という経験をしたなぁ〜
と思っているんです。なんか,のびのびと過ごしていた・・・気が
します。自分の好きなことをしていましたし。先生に思いっきり反
抗することもなく(あ,でも怒られることはありましたけどね),
わいわい過ごしていたと思います。だから幸い,「学校って楽し
い〜〜!」と思ってて・・・。あ,もちろん楽しくないときもあっ
たとは思うんですけど,平均的にどの時代もとっても楽しかったん
ですよ。でも,学生時代何をしていたか?とか授業に関しては具体
的な事は全く覚えていません。忘れちゃうんですよね・・・。「楽
しかった」という事は覚えているんです。
 でも,先生になって仮説実験授業をはじめて,さらに子ども達と
授業が楽しい!と思えるようになりました。そして,たまに卒業生
に会うと「まだあの授業してる?」と聞かれることも??
 子ども達にとって「授業が楽しかった」と思ってもらえるのっ
て,とっても幸せなことだなぁ〜と思います。とてもステキな資料
だなぁと思って読んでいました。
◆マレーシアの孤児院で《空気と水》(清野さん)
 すごい!!マレーシアの子ども達がとても楽しそうに授業を受け
ている!!という事が事細かにわかって,読んでいてわくわくする
資料でした。わくわく・・というよりも,感動しました!!
 実験台に駆け寄る子ども達,スポイト競走で盛り上がっている様
子・・・などなど。「全然(私のクラスと)かわらない」光景が広
がっていました。また,感想のスマイルの絵もとても良くて,それ
をみて涙が出てきそうになりました。p.21「子ども達と実験の世
界に入り込めてしまうのは,仮説そのものの力のためであることは
間違いありません」という文章を読んで,まさしくその通りだ
なぁ!と思いました。
◆料理人から先生へ(伊勢さん)
 個人的に好きなのは,「こわい二番手さんと息を合わせる」,二
番手さんとの関わりが書かれている部分です。二番手さんは,意地
悪な部分もありますが,結果的に二番手さんと「息をあわせる」よ
うになってきた。ということは,学校現場の人間関係でもあるか
なーって思うんです。特に「二人で動くリズムがでてきた・お互い
気持ちよく仕事ができるようになってきた」という文章に関して
は,伊勢さんが二番手さんにへこへこしてこびを売る!とかではな
く,お互いがお互いの仕事を認め合っているような気がしたんで
す。
 それって,職場でもそうですもんね。役割分担?とでも言うのか
な?「私はこれをするから,ここまでやってもらっていい?」と気
軽に頼めたり話したりする関係ってすごく仕事がやりやすいんです
よね・・・。
 そしてその後,二番手さんの「先生にはならねえのか?」という
言葉が伊勢さんに「教員になる」というきっかけを与えてくれた事
は,結果的にとてもよいきっかけだったなぁって思います。
 あと,p.52の「お客さんからの『美味しい』の一言を聞けたと
きの喜び」が「教師として,授業するヨロコビ」とリンクしている
のはそうだよなぁ〜と思って読んでいました。
 私も,学校でも子ども達が喜んだり楽しんだりする姿をみて嬉し
かったし,また今回中学校の同窓会をやってみて,参加した人から
「楽しかった!感動した!嬉しかった!」という感想を聞いたとき
も,めちゃ嬉しかったですもんね。それと同じかなぁ〜と勝手に
くっつけて考えていました(笑)。
◆泥の実験(萠出さん)
 「え?この実験,次はどうなるんだろう?」とわくわくしながら
読みました。冬場の泥の実験はおもしろかったです。見た目では,
生き物なんか生きていない感じがしますけど,暖かくなると,虫が
発生するというのはおもしろいです。改めて「見た目と違うんだ
なぁ」と思いました。しかも,羽化するタイミングも違うというの
もおもしろいです。生き物ってすごいなぁ・・・。
◆ 1ねん1くみいっぽいっぽ(宮地さん)
 とてもいい資料ですよね〜。特に,校内放送!!この放送を自主
的に放送しようとした仁美さんがすごい!です。
 私だったら,職員室で「上級生がカットバンをくれたみたいだ
よー」と言うだけのような気がしますもん。すごくステキだなぁ〜
と思って読んでいました。明るい気持ちの連鎖というのもいいです
よね。「校内放送=注意・指導」ではなく,こんな風にあたたかい
気持ちになる放送っていいなあ〜と思いながら読んでいました。
 というわけで,今回はここまででーす!!

●飯田哲夫(山梨・教育委員会
 テーマは「楽しさに国境はない」でした。漠然としたテーマに思
われましたが,記事を読んでいると,普遍的でかつ重要なテーマで
あると気づきます。
 「楽しい」ということがどういう事なのか考えさせられる記事が
つまっていて,あらためて「楽しさ」について考えてみることに。
 今回の記事をまとめると,次にまとめられるような気がする。
(1)楽しさは人を勤勉にする。
 仮説の教師はたのしい授業のためなら自分の時間を惜しみなく
使ってしまうところがあり,それは授業の準備もそうだし,授業後
も,授業記録をとるなど誰かに強制されるのでなく勤勉になる。
 伊勢革観「料理人から先生へ」はその勤勉さと楽しさの関係が料
理という場で見えた。清野いずみ・結大「マレーシアの孤児院で
《空気と水》」もこの取組み自体がそれに支えられている。
(2)楽しさを生み出すもの……問いをもち予想すること
 その楽しさはどこから生まれるか。「楽しさに国境がない」8月
号のテーマの具体例であるマレーシアの子どもたちも,ぼくらが接
している日本の子どもたちの反応と同じように,問題を重ねるたび
に「いぶかしげ」な表情が笑顔に変わる。身を乗り出して実験を見
つめる。写真の表情を見るとぼくらが日本の子どもたちで受け取る
のと変わらない。孤児であっても,異国であっても,基本的な脳の
構造がヒトであるというか,人間であれば,問題の意味がわかれ
ば,次はどうなるかな,自分の予想通りかな,という心の動きは同
じであることが判る。「空気と水」の構成がとても良くできている
ということ。
 田中一成定時制高校と仮説実験授業」は定時制の生徒にすぐ歓
迎されたのでないと書かれているが,田中先生が授業中に笑顔に
なっていたことが書かれている。自分から笑顔を演出するのでな
く,笑顔になっているということは,この問題を子どもたちわくわ
くして予想してくれるかな,実験結果を早く知りたいかなという教
師の授業に対する予想・問いがあるからだと思う。
 どうなるか判らないが,たぶんうまく行くんじゃないかなという
期待に支えられている生き方が笑顔を作っている。その姿が学び手
を安心させ,学ぶ事に対する信頼とか,大人への信頼を生むのかと
思った。
〔記事ベスト3〕
 いつも記事の順番通りにコメントしていたが,今回は何らかの意
味で自分自身に印象に残ったものベスト3を選びコメントします。
◆(1)伊勢革観「料理人から先生へ ○料理人のシアワセ,教師
のシアワセ」
 まず,革観の名前がユニーク,かっこいい。なぜ,この記事が印
象的だったのか。
 厨房の描写が興味深い。萬親方の生き方に伊勢さんが惹かれなが
ら,一生懸命になってゆくところ。
 革観さんが惹かれたのは親方の仕事で,その仕事の創造的な部分
である。
 「無愛想な親方の創り出す料理の数々は,ボクがこれまで見たこ
ともないようなものばかりだった」
 「親方に言われて料理をテーブルに持っていくと,常連と思われ
るお客さんもちょっとしたオドロキを見せ」る。
 料理の創作過程を観ながら,「驚き」続ける革観さんの様子や,
憧れの親方から,包丁の扱い方からマンツーマンでひとつひとつ教
わり,革観さんが成長する。良い仕事をしようという意欲が自分の
動きをつくる。「どんどん新しい仕事にチャレンジして,自分を成
長させたくなった」。
 これをまとめて「学ぶ(仕事を覚える)たのしさ,技術が上達し
ていくことのヨロコビを実感できました」という。
 つまりここに「たのしい授業」「仮説実験授業」との共通点が見
える。人間が意欲的になり,思わず努力してしまう。そして成長す
る。
 しかし,それだけでは人生終わらない。料理人として独立して生
きるのはさらにその上を目指さなくては……。ここの所まで書かれ
ているのが良い。
 結果的に教師の道を選ぶが,そこに挫折はない。
 「仕事をする=生きる=学ぶ=ヨロコビの実感=成長の実感」を
持っているから。ここに〈自分らしく生きていく思想〉を革観さん
は見出している。
◆(2)萠出浩「泥の実験 ○自然発生説を検討する」
 「この実験はいたって簡単なもので,池の泥をすくってきてその
まま密閉できる容器に入れ,室内で観察するというものです」
 この冒頭の一文にわくわくした。こんな「いたって簡単な」実験
が「命は自然に湧き出てこない」壮大な自然発生説を覆す実験であ
るからだ。
 目に見えないが,そこには何かいる。小さな卵とか種とかなに
か。だから,虫が湧くとかありえない。自然は因果関係に支配さ
れ,物語とは別である。そんな原理的なことがこういう実験で証明
されるのが,楽しい。
 話しはやや逸れるが,「花と実」をやると,どんな花でも,おし
べとめしべを探してしまう。「種と発芽」をやると,どんな種で
も,蒔いてみたくなる。当たり前の景色が変わってくる。単なる,
汚い,泥も,この記事を読むと,すくってきて観察したくなる,の
かな。じっと,気長に観察し続けるところも面白い。泥の実験を組
み込んだ,パスツールのミニ授業書はだれかつくっているのでしょ
うか。
◆(3)亀川純子「試験管の中に地球の中身が見えた!」
 〈平林先生は「今,とってもゆっくり動いているけど,本当は
もっとゆっくりで10万年,100万年もの単位で上がってきます」
と試験管の中のダイアピルをみながら言われました〉
 ここのところがとても良い。このゆっくり加減は,人間の時間感
覚を超えている。しかし,これも運動である。地殻変動とか火山活
動とかの運動を支配する時間感覚が,人間のそれとレベルが違うこ
とが,こういう実験でとてもよくわかるのではないか。
 桜島の噴火はいつ? 箱根の大湧谷も噴火するの? ニュースは
避難などの様子を伝える。避難されている方を思えば,それが何時
なのか知りたい。しかし,時間の尺度が違うのである。南海トラフ
の大地震はいつあるのか。今後330年で70%の確率である。とい
われても,何だかピントこない。だが,もともとそういうスケール
の違いがあるのだと,知っていると何となく落ち着く。
 さて,他の記事については一言コメントをします。
◆山路敏英「日本の科学教育の歴史から学ぶ その2」:被仰出書
から教育勅語への転換がわずかの間にあったこと。自由民権運動
の対抗ということ。それを考えると政治が教育を変えてしまう力に
改めて驚く。戦後も自由で民主的な方向がすぐに国家的な方向に曲
げられた。「理科」が科学とは違うというように,「国語」だっ
て,「国家語」というような考えがそのまま続いている。あまり変
わってない。日本語には大和魂が宿っていると考えている人だって
少なからずいるだろう。そして,そのことにもはや無自覚になって
いることが問題だ。だからこそこういう記事が重要だと思った。
板倉聖宣「正義でなく真理を」:この発想が仮説の原点と思う。
党派の争いでカッカする不幸。そこから生まれる人間不信,政治不
信。それを乗り越える記事。板倉さんの発言にはメモしておきたい
事がいくつもある。
〔1〕「仮説実験授業」:仮説実験授業というのは正義を教えるん
じゃなくて真理を教えることを意図しているものです。
〔2〕「正義と真理」:正義という言葉を思い浮かべたとき,すぐ
に思うのは,なんか「力まなきゃならない」ということです。声高
にがんばらなきゃいけないと。「真理だって,主張するときはがん
ばりが必要だ」と言う人がいますが,真理は諄々と諭せばいいはず
なんです。真理だからといって,すぐには認められません。しか
し,真理なら,ある手続きをとれば必ず認めてくれるようになる。
そういうものが真理だと僕は思っています。……「どういう問題を
出して考えてもらったら,みんなが納得してくれるようになるか」
を研究するのが授業書作りです。
 《国家と領土》という授業書が待ち望まれます。今月は以上です。



編集委員ではありませんが,

●松田心一(鹿児島)
◆学生さんのボランティア活動によるマレーシアでの仮説実験授業
の成功。清野さん親子のレポートは,授業の科学的法則性が間違い
なく存在することを実証してくれた内容でとても励まされました。
編集委員会NEWS」の編集子が書いておられる「国境を越える
たのしさを積み重ねていくことが本当の平和活動につながる」に,
まったく同感です。仮説実験授業をこれまでやったことのない学生
さんによる報告だけに,授業書の持つホンモノの〈授業力〉は,ま
すますそして確実に海外でも支持されていくことでしょう。夢が広
がりますね。
◆料理人から学校の先生に転職し,授業する喜びや目の前の子ども
たちの姿に感動する伊勢さんの生き方もステキですね。教員の家庭
に育っていたから(のに),板前をやめて先生になることにさほど
の抵抗はなかったかもしれません。〈タコ授業〉での成功体験が
あったとはいえ,仮説実験授業との出会いがなければ,教師を辞め
て元の料理人にもどるかまたまた転職していたのではないでしょう
か。
◆大学の教員養成課程や理科教育法などを担当している先生方に,
ぜひ山路さんの記録を読んでほしいと切に願う一人です。そしてぜ
ひこの授業を取り上げて学生さんたちに授業してほしいと願いま
す。また,小中高校の新人教育の講義内容の一コマとしても取り上
げる工夫をしてほしいと願います。それほどに今回の内容もとても
説得的でした。私も山路さん同様に,この板倉論文にとても感銘を
受けていた一人です。
◆中国が「科学技術論文数」をこれほど急激に伸ばしていたとは驚
きました。相対被引用度はまだ低いといっても,日本は早晩中国に
追い越されてしまうことでしょうね。高校生が参加する国際科学オ
リンピックでも生物学を除き中国が1・2位を占めているとは知り
ませんでした。マスコミは日本のメダル数を取り上げるだけでした
から。池田さんのグラフに感謝します。もしも今後(きっと近い将
来訪れることでしょうが)中国の社会制度がいずれ変わるときが来
るとしたら,その後の中国の科学技術の発展はスゴイことになりそ
うですね。
◆私が仮説実験授業から学んだことの中で,特に大切にしているこ
との一つが「正義でなく真理を教えることが大事である」というこ
とです。学校教育も私立学校の教育,宗教も,私たちのまわりの啓
蒙書やマスコミも,世のほとんどすべての教育機関(広い意味で
の)が「正義の教育の重要性」を訴えている中での,板倉さんのこ
のテーゼ。領土問題もナルホドとわかります。「カッカとせず,そ
の根底にある問題の解明に挑む」ことは,昨今の日本の政治状況を
考えると一層身に染みる言葉ですし,まず自分でもその努力をして
いく必要性を感じさせてくれます。
★仮説実験授業を授業することで教師に笑顔が増え,生徒さんたち
が授業に振り向くようになり,卒業率も高まってきたという田中さ
んのレポートには胸が熱くなりました。小学生がさみしさを紛らわ
せるために,1年生の時の担任に電話をする。そして先生の一言
(公民館での実験授業)を忘れないで楽しみにしている話。また
「校内放送」で上級生へのお礼と優しくしくれた上級生探し。宮地
さんの短文2編にも心安らぐ温かいとてもいいお話に感銘を受けま
した。金5gを飲み込んで金の無害を自分の体で実験した四ヶ浦さ
ん。しかも2回も。飲みこんだ後の排出物のていねいな調査まで
も。おもしろく楽しく読ませていただきました。高校生はこの話
きっと忘れないでしょうね。生物の自然発生説を実験された萠出さ
んの記事も,とても楽しく読みました。
 他にも,亀川さん,木村さん,由井さん,七里さんなどの記事も
おもしろかったです。長くなりますので,お名前だけの紹介に。
 
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
仮説社のメールマガジンをお読みくださいましてありがとうござい
ます。弊社発行の月刊誌『たのしい授業』や書籍をお読みくださっ
ている読者のみなさまや,仮説実験授業を実践,あるいはこれから
実践してみたいと考えている方などに,弊社の新刊情報を少しでも
早くお知らせできたらと思い,このようなメールマガジンを発行し
ています。そのほかにも,『たのしい授業』の情報,新しい実験器
具やおもちゃの情報もいち早くお伝えできればと思っています。当
メールマガジンへのご要望などございましたら,下記メールアドレ
スにお寄せくださいますようお願いいたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〔仮説社PublicRelations〕仮説社 販売部(荒木)
hanbai(アットマーク)kasetu.co.jp
〒170-0002 東京都豊島区巣鴨1-14-5 第一松岡ビル3F
TEL.03-6902-2121/FAX.03-6902-2125
(山手線巣鴨駅・都営三田線巣鴨駅,徒歩2分)
*2015年10月9日(金)に上記住所に引越しました。
仮説社HP http://www.kasetu.co.jp/
Facebook http://www.facebook.com/#!/kasetusya
You tube http://www.youtube.com/user/MrKasetusya
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━