〔仮説社PublicRelations〕No.242

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〔仮説社PublicRelations〕No.242
2016年12月22日
http://www.kasetu.co.jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★目次★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

『たのしい授業』12月号の反響
 「編集委員のおたより」を中心に(前編)

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 これまで,『たのしい授業』の毎号の「編集委員の方々の感想」
をご紹介してきましたが,内容があまりにも多いので,発表が追い
つかなくなってきました。
 そこで,今回は一気に「12月号の反響」にとび,以後,メルマ
ガの発行回数を増やすことで,できるだけ早く「前月号の反響」を
おとどけすることにしました。(とばしたものについて,ご希望が
あればお知らせすることもできます)
 いつものことですが,「同じ原稿でも読む人によって感じ方はさ
まざまだなあ」と思います。
 他の方の感想を読むと,改めてもとの『たの授』を読みたくなる
こともあるでしょう。
 ぜひ,そんな読み方もしてみたください。


◇◇◇ 2016年12月号(No.457)ここから世界へ ◇◇◇

編集委員12月21日現在35人の評価
*行頭の数字は,その記事について言及(プラスの評価)している
編集委員の数です。
*感想の書き方は形式がきまっていません。「(1)○○」などと
タイトルの前に数字が書かれていても,それは「一番よい」などと
いう意味とは限らず,しばしば「読んだ順序」だったりします。
*とりあげてくださる原稿の数も,決まっていません。序列を明記
している方もいらっしゃいますが,「もっとも気に入ったもの1編
のみ」とか,「ベスト3」とか,「役立ちそうなもの全て」とか,
人によってさまざまです。
 
言及した人の数と◆筆者「題名」,一覧
30◆松田心一「多数決に優先すること」
20◆福嶋祐子「この初めての授業が,とても好きです」
14◆吉田秀樹「エピクロスの学校はどこに?」
13◆森田光徳「たのしい思い出は《空気と水》で」
12◆池田毅司「青年が見た〈自分の国〉像 再び」
12◆林 泰樹「原子論的な考え方の魅力」
11◆相川智彦「NASAプラトンボと仮説実験授業の紹介をして
  きました」
8◆山路敏英「受験生を励ます年賀状」
4◆島 百合子「ライスケーキ」
3◆広瀬真人「若狭湾での生活」
1◆仮説社「『足算』広告」
1◆「12月号の特集」
1◆高橋善彦「はらぺこあおむし

以下
おたより


1●島 百合子(富山・小学校)
◆今月号の圧巻は松田さんの「多数決に優先すること」です。食い
入るように読みました。
 日頃,自分の教室外で先生が様々な子供たちに苦労して対応して
いるのを聞きます。たいへんだろうなあと感じます。それにつけて
も,松田さんの記事をすごいなあと感動しながら読みました。根底
にある人間に対する信頼に心が熱くなりました。
 自分が同じ立場に立ったらどうだろうと考えさせられました。
他の雑誌では読めない記事だろうと思います。
◆池田さんの「青年が見た〈自分の国〉像」は,おもしろいなと思
って読みました。25年の間に,人の意識というは,こうまで変わ
るものなのですね。社会は生き物であるとことを改めて感じまし
た。
 あと20年ほどたったら,このグラフはどうなるのだろうと予想
したくなりました。長生きして実験結果を見たいものです(笑)
◆林さんの「子どもの気持ちが分かる教師への道」を楽しみにして
います。いい文章というのは,まず題に心がひきつけられることが
多いです。
 「子供の気持ちが分かるように」というのは,よく言われること
ですが,それに向かってどのように歩いていけばよいのか,林さん
は分かりやすく「道」を示してくれているなと思います。
 おそらく道はたくさんあるのだろうけど,ここに出てくる道は私
が歩いてみたくなる道です。

2●田辺守男(埼玉・教師の悩み相談室)
◆山路さん「年賀状…」
 素晴らしい年賀状ですね。山路さんの優しさと発想の良さが伝わ
ります。「たかが授業,されど受験」という言葉は,受験生にピッ
タリです。「頑張れ!」ばかりじゃ言われる方も疲れちゃいます。
「長い目で人生を見るともう一つの自分というものを教えてくれ
る」というのは,現場の先生からはなかなか発想できませんね。受
験の時は,「どちらにころんでもシメタ」の発想が使えるチャンス
ですね。僕も,中学校教師で受験生を担任していた時は,使わせて
もらいました。卒業してからも,「先生,あの言葉,とても良かっ
たです」と感謝されています。親御さんからもです。
 *小沢俊一さんの「合格お守り年賀状」も逸品です。No.261 。
追試している人が結構いるので,いつかまた,12月号で再掲載,
追試の報告をしてほしいです。
◆相川さん「NASAプラトンボ…」
 すごいですね〜。ついにアメリカのNASAですか〜。英語が出来
ないと,無理ですがやってみたいですね〜,外国人に仮説実験授
業。
◆森田さん「たのしい思い出は《空気と水》で」
 これは素晴らしい実践報告です。まさに,森田さんが仮説実験的
に,ナラ君と付き合っていって,イイ結果が出た素晴らしい物語で
す。前号の,松木さん「握手しようね こうじ君」に通じるものが
ありますね。
 森田さんは「外国から来た子どもに日本語を教える」のが仕事な
のですから,それに専念したわけです。「1.日本語がわかる→2.学
校の勉強がわかる→3.学校に来るようになる」という方程式(仮
説)がうまくいかないことに気づいてよかったです。
 フツーの先生の感覚だと,「たのしい授業よりもわかる授業が大
切だ」と思います。でも,サークルでの(小原さんや僕からの)ア
バイスを受けて,「わかる授業よりもたのしい授業が優先だ」と
発想転換してくれて良かったです。ちゃんと実験結果がでましたか
らね。しかも,ナラ君の良さを森田さんが見つけられるようになっ
たのは,森田さんにも余裕ができたからでしょう。また,仮説実験
授業ならきっと良さが見つかるハズという,信頼感があるかでしょ
う。
仮説実験授業をずっとやっていた森田さんでさえ,フツーの先生と
同じ発想でいってしまうのです。「初めての仕事」「転勤直後」と
か,いろいろと余裕がなくなったり,硬直してしまうことがありま
すね。
 《空気と水》の授業記録は森田さんとナラ君とだけの記録です
が,ドキドキしながらのめり込んで読んでしまいました。素晴らし
い記録でした。森田さんの英語力もすごい!
◆福嶋さん「この初めての授業が,…」
 こどもたちの感想文がとても良かったです。直訳が少し笑えま
す。絶賛されていることがよくわかりました。代理授業で《空気と
水》をやって,子どもたちだけでなく,先生方にも大好評だったこ
とが,とても良かったです。
◆松田さん「多数決に優先すること」
 今回も,ドキドキしながら読みました。中学校教師をやっていた
僕は,まさに自分の学校で起こっていることと同じような内容でし
た。僕は担任だったので,松田さんと違って,「このヤンチャな生
徒をどうやって修学旅行に連れて行こうか」ということとどうやっ
て「同僚や校長を納得させるか」ということで悩んでいました。
 こんな校長先生がいたら本当に素晴らしいです。ありがたいで
す。松田さんの仮説が最終的には,三浦君のその後の生活や親御さ
んの行動に明らかに出ています。さらには,元同僚だった先生から
のメッセージには,胸が熱くなりました。

 僕は校内暴力にも出会いましたが(僕が受けたわけではない),
ここには書かれていませんが,校内暴力をするような生徒の場合に
は,松田さんは「職員を守る」とか「職員にも基本的人権がある」
ということは,ちゃんと優先させてくれたと思います。
 そんな緊急時事態の時の「基本的人権の優先順位」はどうやって
松田さんは考えたのでしょうか? 校内暴力が起こるにはたいてい
「生徒の基本的人権が無視された」という結果から起きていること
があるのでしょう。でも,それによって教師が暴言を吐かれたり,
暴力をふるわれたら,それは教師の危機です。
教師も生徒も両方の基本的人権を同時に守るのは無理かな? 
★楽園日記
 そば打ち体験の後,激しい下痢に襲われました。そばが原因では
なく,二日前に孫からウィルス性胃腸炎をもらったらしいです。二
日ほど寝込んでいたら,今度は咳,喉,熱の病気になりました。結
局,まるまる1週間寝込んでしまいました。咳は1ヶ月経つのです
が,まだ出ます。
*吉田さんの「エピクロスの学校はどこに?」について
 う〜む。このギリシャ旅行報告記は,なんじゃ〜?と思いまし
た。ハテナ?で読み続けたわけを考えてみました。──吉田さんが
30年以上もギリシャ研究に費やしたことはわかりますが,『オリ
ンピックと平和』の中身を少しでも紹介してもらわないと(以前,
僕は読んだことがありますが全く覚えていません),「謎と魅力」
が全くわかりません。
 そもそも,原子論のエピクロスと地動説のアリスタルコスの業績
が正しいのですか?もしかして,その弟子とかが有名になってしま
ったなんてことはないのでしょうか?
 そんなに有名だとしたら,現地の人が誰も知らないなんてことは
おかしいですよね。
 アリスタルコスの名前を僕は知らないですが,コペルニクスのこ
となら知っています。だから,一般的に考えれば,有名人にはそれ
なりの理由があるハズです。現地の人が知らないことを何か,教養
がないような表現をされていますが,元の仮説が違っていないでし
ょうか? こんな素人的な質問して,恥ずかしいのですが…。
 また,エピクロスも学校を作ったこと自体も確かなのですか? 
何か古文書見たいなモノに記録されているのでしょうか? 学校と
言っても「家と庭」と吉田さんは書かれていますが,自分の家で誰
かに教えていたのですか? その程度だったら,学校というよりも
「塾」ではないのでしょうか? それだった,エピクロスの生家を
探すと言ったほうが良いのでは…?
 いろいろと疑問府が出て来ました。吉田さんの熱意はわかります
が,その熱意をもう少し,知らない人にも伝わるような内容や確固
たる証拠を示してから,お話を書いてくださると良かったと思いま
す。
 もし,第2の旅行記を載せるのであれば,是非,素人にもわかる
ような内容にしていただけると助かります。

3●山中真志(千葉・小学校)
◆山路敏英「受験生を励ます年賀状」
 ボクは小学校で,まだ6年生を担任した事はありませんが,こう
いう内容での年賀状ってホントに力をもらえるような気がします。
そして,その内容もイイ。たかが受験されど受験。深く考えすぎ
ず,軽くなりすぎず。ボクも他の場面で同じようなことをマネして
みたいと思いました。
◆相川智彦「NASAプラトンボと仮説実験授業の紹介をしてきま
した」
 あのNASAでこんなことをしている人がいるなんて!とまずオド
ロキでした。NASAでの審査に通るなんて,もうかなり認められて
いる証拠ですよね。なんだかとても自分の信じているもの(仮説)
に対して嬉しくなりました。そして,仮説はコトバの壁を越えて,
どこでも楽しんでもらえるという実験結果も出ています。ぜひと
も,ボクももう少し胸を張ってできるようになりたいものです。
◆森田光徳「たのしい思い出は《空気と水》で」
 ボクも外国籍のコを担任したことがあります。そのコも,ナラく
んと同じように,その時間はとても楽しそうにしていました。たま
に片言の日本語で意見を言っちゃったりもして。やっぱり何事も楽
しさが大切なんですよね。楽しいことからすべてが始まっている気
がします。ツマラナイことでは,子どももなかなか付いてこない
し,こっちもキツイです。なかなか思う様には出来ないボクだけ
ど,こういう資料を読んで,「仮説の思想はアタマにあるぞ!」と
思っています。
◆福嶋祐子「この初めての授業が,とても好きです」
 仮説が他の国でも,コトバがあまり通じなくても楽しんでもらえ
る,受け入れてもらえるということを証明してくれていると思いま
す。なんだか仮説を知っていると,強力な武器を手に入れたような
気になって,「この授業ならできる」って自分でも思えそうです。
教科書の授業だったら絶対に無理(笑)。そして,外国の先生は,
楽しい・良いものにとてもアンテナが高いようにも思えます。「子
どもも授業をしてくれることを願っている」なんて。日本でも実際
子どもがそういうことを思っていても,「あんなのはダメだ」なん
て言って一蹴されそうです。こういう資料を読めば読むほど,日本
の教育について疑問を抱いてしまいます。
◆松田心一「多数決に優先すること」
 中学校と小学校とでは違うところもあるとは思うのですが,小学
校ではまず「参加させない」という選択肢は聞いたことがありませ
ん。そんなこともあるんだなぁと,中学校現場は大変なんだなと思
いました。それにしても,学年部の先生の行動も凄いです。そこま
でして連れて行きたくないのか…と思う程です。それに負けない松
田さんもスゴイ。それだけしてくれたら,もちろん三浦君は感謝し
ていると思います。学年の先生たちは,ひょっとしたらそんな松田
さんに必要以上にアタマにきていたのかもしれませんね。
 定年の時のアレジメント・フラワーのお話。学年の先生たちは,
時間が経ってから改めて「三浦君を連れて行く選択をした」という
松田さんに感謝することがあったのかなと思いました。
 夏休みの課題の話。聞いていて,今の自分に耳の痛い話です。今
の学校はとてもルールにウルサイ学校です。子どももなかなか大変
なコが多く,それを抑えるためでもあると思います。周りはとても
若い先生が多く,良い人ばかりです。だからこそ,なかなか暴走は
できません。自分は本当に子どものためになる事ができているの
か?と自問自答することがよくあります。でも,こういう資料を読
まなければ,自問自答する機会さえなくなるかもしれません。そう
すると,自分が自分でなくなってしまうかもしれません。周りのこ
となんて気にしなくて,子ども第一に動けたらどんなにいいだろう
なぁって思います。
◆林 泰樹「原子論的な考え方の魅力」
 仮説をやっていると,いわゆる困った子といわれるコだけど,そ
のコの良いトコロがどんどん見えてくる。それって,とてもスゴイ
ことだと思う。自分の余裕がないとなかなかそう思えないし,一緒
に笑えない。ボクは今,なかなか仮説ができない状況で,子ども達
を叱ってしまうことも多い。でも,やっぱりふとした瞬間に「こい
つカワイイな」って思える。それっていわゆるフツーの教師でも思
う事だと思うけど,それとは違うと思っている。仮説の思想はボク
の中での軸になっている。これだけはブレないようにしたいと思
う。こういう資料を読むたびにそう思える。

4●河上温知(よしのり,鳥取イワナ釣り師)
◆池田毅司「青年が見た〈自分の国〉像再び」
 25年前に住本健司さんが書いた記事のその後を調査したそうで
すね。とても意義のあることです。
 なお,この記事にはなかった項目ですが,内閣府のHPを調べて
みたら,「将来に明るい希望を持っているか」という項目がありま
す。日本の青年は6カ国中最低で12.2%しかありませんでした。米
国が最高で55.6%です。6位のフランス(24%)にくらべても断トツ
の最低です(今回の調査は7カ国でした)。
 将来に希望がなかったら,いくら他の項目がよくても意欲そのも
のがなくなっていくようで,ちょっと残念な結果です。これからま
すます仮説実験授業の役割が重要になってくるのではないかな。
◆松田心一「多数決に優先すること」
 まるでよくできた学園ドラマかと思うほどの内容でした。長文に
もかかわらず一気に読ませる迫力がありました。
 たしかにこんな生徒をいきなり受け持った学年の担任団の教師は
学校長に反発するだろうなあ。校長の松田さんも心労でたいへんだ
ったことでしょう。
 しかし「子ども第一」ということを考えて,なんとか修学旅行へ
の参加にまでこぎつけ,無事に終了させてホッとしたのもつかの
間,そのあとで教師集団から総スカンをくらったときには,松田さ
んも心中おだやかではなかったことが文章からにじんできていま
す。
 日本中世史専門の清水克行さんは「多数決は実は非民主的で,そ
れをやってしまうことによって少数意見が切り捨てられる。中世の
人も滅多なことでは多数決をやらないんですよね。だらだら話し合
うことによって,白黒つけない」と言っています。「民主主義=多
数決」などという俗説をまだ信じている教育関係者が多いのでしょ
う。基本的人権は多数決とは相容れられないことがこの事例でよく
わかりました。
◆相川智彦「NASAプラトンボと仮説実験授業」
 世界中に出かけて行って,仮説実験授業やたのしいものつくりを
実践するひとがふえているのはこころづよいかぎりです。
外国での実践でも日本の子どもたちと同じような反応があって,
「たのしいことは世界共通なんだと」実感させられます。
世界中の教育関係者が,仮説実験授業研究会がおこなっている研究
にだんだん注目しているのではないかと思える報告でした。
◆島 百合子「残ったご飯もおいしく食べよう ライスケーキ」
口絵写真を見ただけでは,とてもご飯が入れてあるようには思えな
いおいしそうなケーキです。つくってみたいという気持ちになるの
は材料の意外性ですね。まさかご飯とケーキが結びつくなんて。こ
んなすてきなケーキを考えた人のアイデアには脱帽です。
○たぶんまちがいの箇所○
文章全体では「学年主任の桐山先生」になっているのに95ページ9
行目では「桐原先生」になっている。

5●栗原正治(群馬・小学校,校長)
 12月号で良かった記事は,次のものです。
◆原子論的な考え方の魅力(林 泰樹)
 読み進めるうちに,引き込まれていきました。特に「直感的証拠
が得られなくても」の部分はとても納得できました。
 「証拠は示せないが,原子論的に考えて正しい」とか「まずは自
分の直感を信じて,その証拠となるものはゆっくり探していたらい
い」というような考え方ができたら良いなと思うのです。
 という言葉には,きちんと説明できなかったり証拠をあげられな
かったりするものには自信を失いがちです。しかし,原資論的な原
理に添えば,いずれ明らかになるはずと思えます。だから,こそ次
のような言葉につながるのでしょう。
 「子どもというのは,なかなかその真実の姿を見せてくれないこ
とがあります。また,目に見える姿に惑わされて,本当の姿が見え
にくくなっていることもあります」
 以前,林さんの子どもとの関わりについて書かれた文章を読んで
「なぜこれほどまで子どもを待てるのだろう,その行動に隠れてい
る本質に気づくことができるのだろう」と思いましたが,分かった
ように思えました。原子論に立つということは,それを信頼してう
まく説明できないもの,現象的に見えないものにも自信を失うこと
なく真実を見つけ出していくことができるのでしょう。「科学は人
のすばらしさも明らかにする」ということを明らかにしたのは,仮
説実験授業の大きな成果の一つであるといえます。
◆多数決に優先すること(松田心一)
 校長として,何かをしようとするときには職員の賛成が多い方が
やりやすいです。だから,コミュニケーションをとって,自分の考
えを理解してもらおうといろいろ手を尽くします。しかし,ことそ
れが人権に関わるとき一人になっても守らなければならない,とい
うことは実感を伴って納得しました。孤独を嫌うあまり,多数決に
逃げて本当に大切なことを見逃してはならないと改めて感じさせら
れました。
◆たのしい思い出は《空気と水》で(森田光徳)
 先生はどうしても「分かって欲しい」「できるようになって欲し
い」ということに引きずられます。でも,「本当にそれは一番大切
なことか」と考えると,「その日をたのしく過ごす」ということが
何より大切なのでしょうね。結果的にたのしい一日は,自信と意欲
を生みだすということをこの例を通して感じました。
大切なことを見誤ってはいけない,と思いました。
エピクロスの学校はどこに?(吉田秀樹)
 報告会で聞いた話題でしたが,吉田さんの話を聞いて,これまで
の歴史から消えているたのしい原子論の歴史があるのではないかと
思えてきます。それを見つけることで,ボクらが常識と思ってきた
ことが実はそうでもなかったということが見つかるといいなと,と
ても期待してしまいます。エピクロスの学校に掲げられていた「私
たちが最も大切にしていることは〈たのしさ〉です」という言葉の
深い意味を明らかにすることでもあると思うのです。研究の続きを
とてもたのしみにしています。
◆この初めての授業が,とても好きです(福嶋祐子)
 続いて《空気と水》の記録ですが,たのしいことは,どの国でも
受け入れられるのです。また,それを容認してくれたバングラデシ
ュの先生方も素敵です。
◆青年が見た〈自分の国〉像 再び (池田毅司)
 以前のこの報告は,とても記憶に残っています。予想しながら読
んでいて,「たぶんアメリカは移民などが増えて,マイノリティの
人々が社会で成功しにくい風土ができてきていて,以前と変わって
いるのではないか」と予想しました。
 何となくあたっているようにも思えます。
 それにも増して,変わらず日本の平等性が明らかになり,この社
会を守っていかなければと思いました。そのためには科学の碑に刻
んである「科学は民主的な社会にのみ生まれ,民主的な社会を守り
育てる」という言葉の通り,授業書をやることで実現するのだとも
感じました。

6●森田光徳(東京・小学校)
◆一番に印象に残ったのは,松田心一さんの「多数決に優先するこ
と」です。
 是非このお話をご本人から直接聞きたいと思いました。(普段私
が行っている昭島サークルでこの資料を発表したと聞きました)
 読み進めていくと「次はどうなる?」とどきどきしながら自分で
も考えながら読むことができました。これだけの衝撃的な話をたの
授で読むことができるって,貴重だと思いました。
 内容も板倉さんの多数決の話と根本的な部分で関係しておりまし
た。子どもの人権はもっとも大切なものだけに,「多数派の考えで
決まったこと」でその人権が侵害されてしまうという現実を改めて
考えさせられました。
 教員として普段何気なく子供と関わっていることの中にも意外に
そんなことがあるのかもしれません。
◆次に印象に残ったのは,福嶋祐子さんの「この初めての授業が,
とても好きです」です。
 普段バングラデシュの学校でどんな理科の授業をしているのかは
わかりませんが,授業を楽しむ子どもの姿は日本と変わりないこと
に確信が持てました。

7●高畠 謙(神奈川・小学校)
 校内研究の授業で《日本歴史入門》をやりました。授業検討で
は,「選択肢があるのはどうか」「少人数での話し合いを入れては
どうか」と言う,もう自分にとっては聞き飽きた2つのことが議題
に上がりました。面倒なのでチョロっとその意見を聞き入れて,授
業をすることに。結局,授業は予想以上に子どもが楽しみ,ボクは
「内容が大事」ということを強く感じました。授業を見ていた若い
人たちからは「自分も6年生をやったらこの授業をしたいです」と
何人も言ってもらえました。ただ,授業書を使っているので,やは
り,ぼくは買ってもらいたいし,授業運営法を守ってやってほし
い,とも思います。学校には必ず?学年の棚のようなものがあっ
て,ややもするとすぐに「たのしい授業」関係のプランなども入れ
られてしまいます。安易に広めたくないけれど,あまり広まらない
と……ホント,仮説を伝えるってムズカシイ。
 さて,12月号の感想です。今月は2つの記事について書きました。
◆1つ目は「原子論的な考え方の魅力」(林泰樹さん)です。毎回
たのしみなこの「子どもの気持ちがわかる教師への道」シリーズ。
ボクも毎年毎年,目の前の子どもの〈困った姿〉に「本当にたのし
い授業でいいのか」と悩むことがあります。目に見えるものは分か
りやすく,そして,それだけが真実のように見えてしまいます。し
かし,そんな〈困った姿〉を見せる子の〈ステキな姿〉が見られる
のは「たのしい授業」しかないのも今の自分にとって紛れもない真
実です。だから,それを信じて〈困ったステキな子ども〉と付き合
っていくしかないのかな。忘れていました!あとひとつ「たのしい
授業でいく!」理由が。それは,自分の「たのしさ」です。コレは
自分のことだから自分で分かります。自分が先生として輝けるのが
「たのしい授業」だからです。
◆2つ目は「多数決に優先すること」
 迫力のある文章で読みながらヒリヒリしました。校長っていろい
ろ言われるし,孤独なポジションだな。「先生たちの盾になれ」っ
て言われるし,今は「先生方を守るのが私の仕事です」と当たり
前?のように言ったりします。実際,「あの管理職は守ってくれな
い」とか「守ってくれる」と聞くこともあります。そんな価値基準
の中,「子ども第一主義」はなかなか取りにくい。その中で,「子
ども」を第一に考えて行動した松田さんはすごい。そのあとの「校
長とのツーショット写真」の話はグッと来るものがありました。あ
のとき敵だった学年団からの「花束」の真意が気になります。
◇この2つの記事を1位2位として取り上げてながら思うことがあ
りました。それは『たのしい授業』が「一見さん御断り」の雑誌に
なっているのではないかということです。仮説実験授業を詳しく知
らない人にとっては,「?」な内容がとても多くなっているような
気がします。それは意図的なものならば,そういう雑誌としての存
在は,その方向で意義があると思います。でも,ボクは編集委員
してもう一冊をダレに贈るか?がとても悩ましいです。渡す以上は
「定期講読してくれる可能性のある人」(または読んでくれそうな
ひと)に渡すコトが大事です。だけど,なかなか初めての人には敷
居が高い雑誌な感じがするのです。なので,もう『たのしい授業』
に一歩進んでいて,《授業書》も経験済みで,ある程度「仮説実験
授業」を理解してくれている人にあげガチです。終わり方がわけが
わからない文章になってしまいました。

8●村岡京子(宮城・小学校)
◆「多数決に優先すること」 松田一心さん
 ずっとドキドキしながら,途中からはもう胃がきりきり痛み出す
ほどに。本当に大事なことを見極め,貫くことの大切さや難しさを
改めて感じさせられました。
一番ほっとさせられたのは,三浦君が「オレはオヤジに似ている」
と言ってケタケタ笑っていた姿のところです。三浦君元気で幸せに
暮らしているといいなあ。
◆「この初めての授業が,とても好きです」 福嶋祐子さん
 祐子さんの行動力とあふれる情熱に脱帽です。「せっかく採用試
験に落ちたのだから,〈落ちてよかったな〉と思えることがした
い!」という言葉,心にズキューンと響きました。
◆「エピクロスの学校はどこに?」 吉田秀樹さん
エピクロスの学校の看板の文字が一番印象に残りました。「初めて
お会いする方へ。この学校で少し休んでいきませんか。ここで私た
ちが最も大切にしていることは,〈たのしさ〉です」現在の日本の
学校はプラトンの入り口の看板「数学を学ばざる者,入るべから
ず」に近くなってないかなぁ・・・。とちょっと不安になってきま
した。
◆「NASAプラトンボと仮説実験授業の紹介をしてきました」 
相川智彦さん
◆「たのしい思い出は≪空気と水≫で」 森田光徳さん
どちらも「たのしい授業は世界共通」と言うことを実験で証明して
くれているなあと嬉しくなりました。自信を持ってたのしい授業を
続けていきたいなあと思いました。
◆「足で足し算するカードゲーム「足算」p.67
 昨日「あしは何本」の授業書終わったばかりだったので,すぐに
目に飛び込んできました。生き物博士のケンちゃんがカニの足の数
をクラスでたった一人だけで当て,クラスのみんなから大絶賛を受
けました。授業書終了後,ケンちゃんは「博士タ〜イム」の時に,
みんなに節足動物について詳しく教えてくれたのです。ケンちゃん
は,図鑑を丸ごと暗記しているスーパー博士。ダンゴ虫の足の数に
からめて「14本と言えばダイオウグソクムシも〜」と節足動物
発生の歴史を詳しく,とても嬉しそうに語ってくれたのです。
 そしたら今読んだ足算カードゲームに「ダイオウグソクムシ」が
新しく書き下ろしされている!もう感動です。けんちゃんに早く教
えたいよ〜。超個人的な意見でゴメンナサイ。足算カード,今まで
ずっと淀井さん製作のものをちょきちょき切って使わせてもらって
いました。本当にこれはすばらしいカードゲームです。子どもたち
は何年生でも,休み時間に夢中になってやっています。生き物の分
類はもちろん,計算の基礎になる10の補数も,自然と覚えちゃい
ます。自然というか猛烈に意欲的にというか。何より,虫嫌いだっ
た女の子たちが,自主的に給食のプリンカップを洗って休み時間に
クモを捕まえてきて足を数えてます。淀井さんのこのカードゲーム
の発明は天才的です。クラスに常備すべき必需品です。

9●入江洋一(広島・中学校理科)
◆「このはじめての授業が,とても好きです」(福嶋祐子さん)
 青年海外協力隊バングラディッシュに行って,仮説実験授業を
した人の話は,夏の大会のときにききました。ダッカでテロ事件が
起きたけれど,そんなところへ行ってたなんて,どんな勇敢な人な
のだろうと思いました。
 ところが,福嶋さんのお父さんとは,親しくさせてもらっている
ので,大会で話をしたときに,お父さんのとなりにいた人だと思う
と,なんだか勇敢なイメージとはちがっていて,本当はどうなのか
分からなくなりました。そして,お父さんが東日本大震災のあと小
学校の先生として被災地にしばらく行かれたので,その影響かな
あ,などと勝手なことを想像していました。ですから,福嶋さんの
お話を聞き逃したことをとても残念に思っていました。
 そこで,どんな事情でバングラディッシュに行かれて,どんな授
業をされたのか,と思いながら記事を読みました。すると,そこに
は普通の青年が,思い通りにならないことにぶつかりながら,自分
の気持ちに正直に進路を選択していった話が書かれていて,とても
頼もしい気持ちになりました。
 また来年も先生をやりながら採用試験を受けて,不合格だったら
また受けて……ということを繰り返すことが,魅力的に思えなくな
ってきました。(48ぺ)
 こんなふうに,スパッと自分の気持ちをすくい取ることが,青年
時代のぼくにはできなかった。大学にいた10年間はずっと悶々と
していたなあ。そのころのぼくなら,福嶋さんとはちがって,きっ
と「魅力的に思えなくなった自分」を否定的に評価したと思いま
す。それに「どっちに転んでもしめた」の発想は皆無だった。
 「せっかく採用試験に落ちたのだから,〈落ちて良かったな〉と
思えることがしたい!」と思ったのです。(48ぺ)
 自分の気持ちを本当の意味で大事にすることは,ぼくは仮説実験
授業に出会ってから,少しずつできるようになりました。仮説実験
授業で,自分の楽しさと他人の楽しさが同時に成立する経験をした
からです。
 バングラディッシュでの授業のことになると,おそらく書かれて
いないトラブルはあったかもしれませんが,なにしろ授業は,いつ
もの仮説実験授業。ああ,懐かしい。読んでいると,自分が《空気
と水》の授業をしていたときの子どもたちのようすが目に浮かんで
きました。
 たとえば,こんなところ。
 紙を取り出して,もう一度一人ずつ触って確認してもらって,よ
うやくぬれていないことがわかったようでした。(53ぺ)
 こういうところも同じ。
 なぜか[もんだい4]より人数が減ってしまいました。(57ぺ)
 こうして海外でも仮説実験授業が受け入れられることが,少しず
つ確かめられていくのだろうと思うと,なんだか未来はとっても明
るく広いと思えてきました。
◆「エピクロスの学校はどこに?」(吉田秀樹さん)
 ギリシア旅行にいっしょに行かなかったので,その報告がとても
気になっていました。そこで,東京であった報告会に参加したので
すが,そのとき聴いた話がもりだくさんで,頭の中を整理できない
ままでいました。
 ところが,今回の記事では,エピクロスの学校を探すことにしぼ
って書かれていたので,とってもよかったです。なにしろ,吉田さ
んから聞いたことのある話がいくつもあったにも関わらず,最後ま
で「結局,どうだったのだろう?」と思いながら読み通すことがで
きました。
 そして,結論が,「みつからなかった」というのもいいです。そ
れほど,エピクロスギリシアにおいて評価されていないのですか
ら,板倉さんから学んだぼくたちにしか,エピクロスの再評価はで
きない,ギリシアの原子論や地動説の再評価はできないかもしれな
い,そんな思いが強くなりました。

10●根本 巌(神奈川・中学校,社会)
◆「ここから世界へ」……特集の題名に目をひかれました。海外で
飛び出していった人たち,海外から来た人を受け入れた人たち,ア
メリカ,ネパール,ギリシャバングラデシュ・・・なるほど納得の
記事が満載。さらに,いつもは目にとめていない副題「群れに紛れ
て我を忘れるな」も目にとまりました。〈職員室という群れ〉〈国
民という群れ〉・・・こちらも納得です。
◆「青年が観た自分の国像」(池田毅司さん)
 住本健次さんの原作プランは何度も授業で使わせてもらいまし
た。お亡くなりになったことはとても残念ですが,追悼の意も込め
て改めてその業績が紹介されたのはうれしいです。また,池田さん
がしっかり追跡調査をしてくださり,25年間の変化を知ることが
できました。調査6カ国で「身分・家柄・親の地位」の回答が増
え,「個人の努力」や「個人の才能」が減少していることはとても
気になります。また「学歴信奉国アメリカ」で地滑り的な変化が生
じていることも気になります。先進国では若者が「努力してもどう
せムダ」と閉塞感を強めているのでしょうか。韓国で起きている反
大統領デモに若者が大勢参加していたり,アメリカ大統領選挙でト
ランプ氏が勝利したりしたことの底流が見えた気がします。ボクは
今年58歳,自分の世代が<若者が希望を持てる社会>をつくれてい
ない現実をつきつけられ責任を感じます。
◆「NASAプラトンボと仮説実験授業の紹介をしてきました」
(相川智彦さん)
◆「この初めての授業が,とても好きです」(福嶋祐子さん)
 共に海外で仮説実験授業(たのしい授業)をした記録です。先ほ
ど,「自分の世代が<若者が希望を持てる社会>をつくれていない現
実」と書きましたが,たしかにボク個人の力では社会全体の変革な
ど起こせそうにありません。若き日のボクならば無力感や焦燥感に
さいなまれるところです(こうした感情の悪循環がテロを起こす若
者を生みだしているのかも)。でも,今は幸い仮説実験授業があり
ます。社会全体を相手にはできませんが,いま目の前にいる子ども
たちに,自信をもってできることがあります。子どもたちに未来を
切り開ける力を育てている手ごたえを感じていられます。宇宙開発
の最先端国アメリカでも一人当たりGDP最低レベルのバングラ
シュでも,同じように子どもたちを知的興奮に与え歓迎される仮説
実験授業はやっぱり素晴らしいと誇りに思える記事でした。
◆「エピクロスの学校はどこ?」(吉田秀樹さん)
 すでに旅行報告会に参加して聞いた話ですが,上手に編集されて
いるので,吉田さんの問題意識や感動が改めてよく伝わってきまし
た。目次の紹介文がおもしろい。「行け行け秀樹!」には笑ってし
まいました。吉田さんを知らない人は,20代の若者を想像したの
では(笑)でも,吉田さんって今でも気持ちは若者,好奇心と探求
心の塊ですね。これからもいつまでも「行け行け秀樹!」でいてく
ださい。応援しています。

11●飯田哲夫(山梨・教育事務所)◆森田光徳「たのしい思い出
は《空気と水》で」★★★★
 日本語教育という立場なら,日本語を教えることがその子のため
になるし,それで学校が楽しくなると考える。しかし,ここには大
きな間違いがあることに気づかされる記事である。
 別に,外国籍の子などの日本語指導の問題ではなく,特別支援に
しても,すべてに通ずるのだが,教師はどうしても教師という立場
で,発想して,努力してしまう。努力は良いが,逆に,空回りす
る。
 その子にとって,先生の立場がどうなのかは切実でない。その子
が何を求めているのか,何に躓いているのか,そこに焦点を当てた
とき,「たのしい授業」というのは,やはり意味を持ってくるのだ
なあ,と思わされる。子どもは学びに学校に来ていて,自分が楽し
く学べたなということが一番大事なのだ。
 不登校気味になったナラ君に,ものづくりをしたり,「空気と
水」をしたりする森田先生を,ナラ君は,ああ,良い先生に出会っ
たなと思ったであろう(そのアドバイスをした「昭島たのしい教師
入門サークル」の存在は大きい)。僕も,この記事をサークルで紹
介したいと思った。日本語指導のみならず,すべての教育のもとに
「たのしい授業」を!
◆吉田秀樹「エピクロスの学校はどこに?」★★★
古代オリンピックは,ただスポーツの祭典というだけではありま
せんでした。文化や芸術の発表の場でもあったのです」
 という言葉が,昨今の東京オリンピック関連のニュースで,何だ
かもうオリンピックもなあ,と思っている心に響いてくる。
 吉田さんの『オリンピックと平和』は未読であったので,今度読
んでみたいと思いました。きっと,古代ギリシャには,今の私たち
の社会が気づくべき重要な考え方があるのだと,この記事を読み再
発見させられました。
 エピクロスの学校の看板の言葉がとてもいい。ここに関わる情報
が見つかったらよかったと思いました。
◆福島祐子「この初めての授業がとても好きです」★★★
 この記事で伝わる「空気と水」を楽しく学ぶ子どもたちの姿は,
ユニバーサルなもの,普遍的なものなのだと思う。学ぶことの基本
の欲求,価値に応えるものが授業書にあるからだろう。
 「空気と水」は仮説実験授業の入門として,とても有効だと改め
て感じます。授業書の英訳が出されているようなら,もっといろい
ろな場面で活用されればいい。
 今後,外国から来た方も増えるでしょうから,広まるといいなと
思います。子どもたちの授業記録も感想文もよかったです。
 世界でも,PISAなど国際学力調査の点数で教育を測る点にだけ
しか目がいかないと,この良さをわからないかもしれない。点数を
気にしている学校では,教師の方が歓迎しない可能性もあると思う
から。でも,学び手の喜びや感動を優先する学校が世界にはきっと
多いだろう。可能性を感じました。
◆池田毅司「青年が見た〈自分の国〉像 再び」★★★★
 格差社会,子どもの貧困と近年の日本社会の変化を反映させてい
るのかなと予想しました。結果は,世界の方がより大きく変わって
いるというようですね。四半世紀の比較が興味深い。近代社会は曲
がり角にきているのかなと思わされました。
◆松田心一「多数決に優先すること」★★★★★
 なかなか読ませる記事でした。質問形式で,どうなるか予想して
読み進めていくうちに,何が大切なのかと考えます。何より,途中
から松田さん自信の体験だったということが明かされ,より説得力
が高まったという印象を受けました。
 が,あるところでこれは教育観というか,人間観というか,人権
意識というか,壁があるのかなと思ってしまう。やはり,最近の現
場でも,「もう三浦君みたいな子はつき合いきれない」という空気
が強くなっているのかな,と不安もよぎったのが正直なところ。
 板倉さんの「最後の奴隷制としての多数決原理」という論文は本
当に衝撃的でした。すかしこの原理を素直に納得できない人は多い
だろう。まだまだ,この立場に立てない人が多い。仮説実験授業
で,多数派が正しいとは限らないということを体験的にわかってい
るから僕はすっと理解できたのかもしれないからだ。
 とくに,この二,三年,日本の政治や社会の状況を見ると,個人
基本的人権が優先するという重みより,社会の利益が優先すると
いう空気が強くなっているのかなと思う。不安にもなります。こう
いうことが大切だと伝え続けることが重要であると思う。
 とても重みのある記事でした。

12●中西 康(三重・小学校)
 6年生と《生物と細胞》を楽しんでいます。来週からは,「木彫
木箱」の〈三角彫りの練習〉を始めます。楽しみです。
◆松田「多数決に優先すること」
 教員が実験結果から学べない。というか,仮説実験的な考え方が
できないというのは,まさにその通りだと思います。
 失敗の結果よりも,動機や多数決が優先されているのでしょう。
ただ,校長は,「職員にも気持ちよく仕事をしてもらいたい」とい
う思いもあるでしょうから,職員をどうまとめていくか,職員室を
どう経営していくか,ということも仮説実験的手腕が必要なのだと
も思いました。
◆林「原子論的な考え方の魅力」
 《溶解》,『原子論的な見方・考え方』,『原子論の歴史』が
〈教室の子どもたちの姿〉と絡めて論じられていて,「さすが林さ
んだ!」と唸りました。
 「原理的に見て正しい」……この考え方を使えるようになりたい
です。
 
                 ……… 以下次号へ! …… 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
*メルマガ編集部よりひとこと*
なかなかペースがつかめず遅れ遅れになっていた「編集委員のおた
より」ですが,心機一転,今号から曜日を決めてお送りしたいと思
います!今号からきちんと…!
ドドドっと来たりまったく来なくなったりと,そんなことがないよ
うに頑張りますので,今後ともどうぞよろしくお願いします。
巣鴨は今日は雨がパラついておりました。
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
仮説社のメールマガジンをお読みくださいましてありがとうござい
ます。弊社発行の月刊誌『たのしい授業』や書籍をお読みくださっ
ている読者のみなさまや,仮説実験授業を実践,あるいはこれから
実践してみたいと考えている方などに,弊社の新刊情報を少しでも
早くお知らせできたらと思い,このようなメールマガジンを発行し
ています。そのほかにも,『たのしい授業』の情報,新しい実験器
具やおもちゃの情報もいち早くお伝えできればと思っています。当
メールマガジンへのご要望などございましたら,下記メールアドレ
スにお寄せくださいますようお願いいたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
〔仮説社PublicRelations〕仮説社 販売部(荒木)
hanbai(アットマーク)kasetu.co.jp
〒170-0002 東京都豊島区巣鴨1-14-5 第一松岡ビル3F
TEL 03-6902-2121  FAX 03-6902-2125
仮説社HP→http://www.kasetu.co.jp/
Facebookhttps://www.facebook.com/kasetusya/
You tubehttp://www.youtube.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━