〔仮説社PublicRelations〕No.177

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〔仮説社PublicRelations〕No.177
2015年1月30日
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★目次★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

『たのしい授業』1月号の反響
 「編集委員のおたより」を中心に2

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 前回に続き,『たのしい授業』1月号の「おたより」を紹介しま
す。18人分です。かなり長文です。
 なお,「おたより」は原則として原文のままです。表記などは統
一していません。


◇◇◇ 2015年1月号(430号)テストって何のため? ◇◇◇

●実藤清子(埼玉・中理)
 1月号の記事は三木さんの〈生きがいとは何か〉から始まって,
生き方について考えさせてくれる記事が多く,記事を書いている
人,編集している人に感謝したいと思いました。
◆1「常識と反常識」板倉さん
 板倉さんのよって立っている地平が書かれていて,興味深かった
です。『模倣の時代』にしても『歴史の見方・考え方』にしても,
板倉さんの〈反常識の覚悟〉があってこそ,私たちに新しい見方を
教えてくれたのだと思うと,背筋が伸びる気がしました。でも,お
かげで,私たちは,歴史も楽しむことができるようにもなっていま
す。
◆2「テストが楽しいだなんて」小原さん
 大学生を相手に,テスト観をひっくり返す実験をやっている小原
さん。その見事な実験結果がすばらしいです。大学生の新鮮な感想
も良かったです。
◆3「生きがいとは何か」三木さん
 自転車さんの叔父さんとの会話。こういう記事がのることが素晴
らしいと思いました。記事を書いた三木さんももちろん,『たのし
い授業』という雑誌の裾野の広さ,深さを感じました。癒されま
す。

●日吉資子(佐賀,小学校講師)
 1月号の「マイベスト7!」の感想です。
◆「生きがいとは何か」三木淳男さん
 食事に行ったり買い物に行ったりしちゃたときに,「この仕事が
本当に好きなんだろうなぁ」という人と出会うと,うれしくて感激
することがあります。そして,その人のファンになってしまいま
す。
 そんなときふと思うのは,先生という職業のこと。「この仕事が
好きかどうか」は,授業を見たり受けたりすれば,すぐに分ってし
まうだろうなぁ,と。
 とても心に響くお話でした!
◆「〈誰にほめられたいかアンケート〉の結果とその考察」末丸千
早さん
 高学年になるほど,「友達にほめられたい」と予想していたので
驚きでした。
 わが子に置き換えてみて「なるほどねぇ,そうだったのか」と納
得してしまう場面を思い浮かべました。保護者会で紹介するには,
とても良い資料だと思い,さっそく知り合いの生活指導の先生にも
紹介しました。
◆「かまい・かまわれる関係」小川 洋さん
 小林君みたいな男の子(女の子),いますいます。大前提には,
教師である自分がその子を面白がったり,好きになれたりするとこ
ろを見つけられるといいんじゃないかな〜。それには,やはり楽し
い授業を(その他の楽しいコトとかも)仲立ちにすることかな〜と
思いました。
 そうじゃなきゃ,年々こっちは年取るし,相手はいつまでも小学
生なんだし,ジェネレーションギャップは大きくなるばかりですか
ら(笑)
◆「公認カンニングぺーパー」小沢俊一さん
 テキストの内容をまとめた小沢印のカンニングペーパー。なるほ
ど,考えましたね〜。社会のテストとかでも応用できそう。ちなみ
に小学校では,友達の作品を鑑賞し合う時間に,友達の作品のイイ
所を書いてもらい(5人分くらいまで),鑑賞の評価の参考にして
いました。(‘◇’)ゞ(これダメ?)
◆「所見どう書いていますか」平尾二三夫さん
 40人前後のクラスを担任することが少なくなかったので,所見
書きは〈見つけた良いところ〉を伝えることのできる楽しみと同時
に,細かな字で丁寧に書かなければならないので肩がこるツラサが
ありました(今はパソコン入力でだいぶラクに)。
 また,文章表現に迷ってなかなか時間がかかって大変でした。な
ので,定型文や文末を決めておくというのは,イイですね。(もっ
と早く知りたかった〜)。
 「所見には事実だけを書く」のは,同感です。ただ,〈明るく〉
挨拶したり,〈意欲的に取り組んでいる感じ〉が見えたとき,その
ように書くのは「事実以外の主観がまじっている」からいけないこ
とかなぁ〜。
 家の人は,「ああ,家では反抗的だけど学校では明るくやってる
んだ」と,安心したり,心配したりするきっかけになるような気も
しますがどうでしょう。
◆「思えば遠くへ来たもんだ」淀井泉さん
 純粋で意欲あふれる子どもたちを前に「罪悪感」。淀井さんだっ
て相当純粋です。
 そこで,「向いていないからやっぱりやめよう」とは思わずに,
何とかしようとさまざまな教育書にあたっていくうちに,板倉先生
(仮説実験授業)にたどり着いたのですね! ここまで読んで,ワ
タシが出会った過程と共通するなぁ〜と思っていたら,突如新居先
生との出会いのお話。思わず,笑ってしまいました。あまりにも新
居先生の雰囲気が伝わり過ぎて。新居先生の講演も臨場感があって
よかったです。
◆「テストがたのしいだなんて」小原茂巳さん
 中学・高校と「テストさえなければ学校は天国なのに」と思って
いました。
 山田正男さんの教育実験の結果を発表する前に,〈授業書の後の
テスト〉をしたこと,そして,その後の小原さんのお話がとっても
イイです。実際に,テストがスラスラできたら「こんな簡単な問題
できるのが当然」などと思う学生さんがいるかもしれないーと予想
してお話を準備しているところがすごいです。さすがです。
 そんな学生さんに「進歩しちゃったのですね〜!」「進歩が目に
見えるようになる,そんな機会を作ってくれるのがテストなので
す」なんて超納得!(実は,このワタシも進歩する前の自分を忘れ
てしまうことがよくあるので)
 たのしい授業ができたと思ったら,テストをしてから授業の評
価・感想文を書いてもらわなきゃ,もったいない…ですね。

●小野健司(徳島,大学)
 1月号は,「短文」に,特に楽しいものが多かったです。
◆三木淳男「生きがいとは何か」
⇒こういうお話は,好きです。派手な感動はないけれど,心がほく
ほくしてきます。「読むだけの道徳教材」にもいいと思います。
◆竹田美紀子「通知表って,なんだろう」
⇒いい「おたより」だな〜。こういうのを読んだら,親の視野が広
がる。そうした親からもらう「評価」は,子どもにとって幸せをも
たらすに違いない!
◆萠出浩「パッキンを交換してみませんか?」
⇒ボクは「故障したものを修理してやろう」という欲求が,結構強
い。でも,ボクが修理したものは,故障する前よりも無残な姿に
なってしまうことがほとんどだ。
 自転車のパンクの時だって「修理しよう」とやってみたけれど,
どうにもならなくなってしまった。結局,自転車屋さんに持ち込ん
だところ「ハデにやられたねえ〜」と同情されてしまったことがあ
る。パンク(実際にはボクが修理中にあけてしまった穴)した個所
が多すぎて,チューブを全部替えなきゃダメ,というのだ。まった
く,とほほだ。
 そんなボクでも修理ができることが2つある。一つは,「ボタン
付け」。これは,小学校時代の家庭科のおかげ。学校教育が役立っ
た数少ない例のひとつ。そして「パッキン」。きっと蛇口が,ゴム
と違って丈夫な金属だからだろうな。こういう技術を,学校で教え
てほしい。
◆追記:
 小川さんの「〈新人育成教員〉日記」のなかに,新居信正さんの
ことがとりあげられていました。新居さんが退職されてから10年
ほど,サークルなどで親しくしていたので,「ジャンパー」のエピ
ソードも何度か耳にしました。
 その時の新居さんは,「ワイの上っ張りを子どもに着させて,学
校中を歩かせるんや。そうすると子どもは,ウレシソウニ歩きよる
んじゃ」と懐かしみながら,笑顔で話していました。その姿から
は,とてもじゃありませんが「悪さをした子どもを懲らしめるため
にやった」とは,思うことはできませんでした。
 少なくとも新居さんは,けっして〈罰〉としてではなくて,反省
した子どもへの〈褒美〉と考えていたのだと思います(ああ無
情)。

●西村尚子(山口,会社員)
◆「常識と反常識」さん
 「仕方がない,それが常識なので」という言い方や考え方をして
しまう時があります。でも,〈仕方がない〉と〈常識〉をリンクし
てしまうのはおかしなことですね。
 「理想的な社会を目指す時は,何を常識とすればいいのか」との
言葉。……常識的なことだと思っていたことが,「実はおかしいの
ではないか」「心地よくないぞ」と気付いたら,じわじわと,常識
派をあまり刺激しないように,でも自分の中での正しさを毅然とし
て押していく,ということ。それを,とても愉快に感じました。時
代によって常識を考え直し変えていくことの大事を思いました。
◆「生きがいとは何か」三木さん
 大型量販店や大きなショッピングモールがどんどん増え,なにも
かもそこでまかなえてしまう昨今。ほんとに昔ながらの,町の自転
車修理屋のおじいさん。細々とでも自分の技術を守って,こつこつ
と自転車の修理をして,ささやかでもお客さんに喜んでもらう。し
あわせってなにかなーと思った。
 ぜんぜん華やかでもなく,ぜんぜんお金持ちでもない。きっと,
大変なこともいろいろとあったに違いない。しかし,つつましいけ
れど,なにか自分に誇りを持って生きられるということの幸せのよ
うなものを感じた。そして,やっぱり人って,他の人の笑顔に生き
がいを感じるものなんだろうなーと思った。
◆「神社の名産地」小野さん
 私の住む街には日本三天神の1つがあります。京都の北野天満
宮・福岡の太宰府天満宮に並ぶ天神様です。でもぜんぜん有名では
ありません。ご存知でしょうか……。
 そんな天神様の街に住みながら,これ程の天満神社が全国にある
とは知りませんでした。なのでちょっと興味深く読みました。
 明治の半ばまでは現在の神社の倍以上の神社があったこと。合
併・整理政策でかなり減らされたこと。なんだか,いろいろな神社
の歴史にも興味がわきました。
 どういう理由で減らされたんでしょう。減らされた神社の神主さ
んたちはどうなってしまったのでしょう。──などなど。
 それにしても,神社・お寺・教会と,宗教施設がたくさんある日
本。日本人はおおらかですね。

●山田晃靖(福井,小,ふれあい)
◆1.「常識と反常識」板倉さん
 教育の仕事で一般の人に近いところで生きている研究者は,日常
生活でも反常識かどうかで研究成果が全然違ってくるというところ
に,教育を仕事にする厳しさを感じました。教育の研究者よりもっ
と一般の人に近い,いや一般の人である教師は反常識的であること
はもっと厳しいですね。しかし,反常識的で世間のことがずーっと
見えていれば,成果をあげられるのです。まさしく,仮説実験授業
をしていくことにつながります。〈勇気を持って,そーっといく〉
というところは,そうだなあと思いました。こういう,視点はとて
も勉強になります。何度も読み返したい論文です。
◆2.「通知表って,なんだろう」竹田さん
 通知表に一喜一憂してしまいがちな保護者や初めてわが子の通知
表をどきどきしながら見る保護者にとって,担任の先生からこのよ
うなメッセージをもらえば,きっと安心すると思います。通知表は
ある部分の評価でしかないこと,自信と意欲のこと,すとんと理解
できると思います。通知表の結果がどうあれ,わが子を応援したく
なる気持ちがわいてくるのではないでしょうか。
◆3.「かまい・かまわれる関係」小川さん
 教師と子どもの人間関係,教師が子どもをどのようにとらえる
か,については,新居先生の毒舌がありました。〈どうせひと(他
人)の子やないか〉もその一つだと思います。文言そのままにとら
えるとひどい先生だと誤解されますが,適切な距離が,互いに心地
よい関係を生み出すのではないかと思います。「教師を困らせる子
について,そのことをおもしろがる」もこういう関係だと思いま
す。問題はすぐに解決はしなくても,日常の人間関係は,互いにそ
んなに悪くない,つまり顔を見たくもないという最悪の状態には陥
らないと思います。
 こういうコミュニケーションの取り方は,たの授学派ならではと
思います。
◆4.「〈テストがたのしい〉だなんて」小原さん
 自分がかしこくなったことを確認するのがテスト。大学生も中学
生も同じであることがよく分かります。中学生が高級な問題を選ぶ
ことにも驚き。学ぶに値する問題は,やっぱり強烈な印象を残し,
意欲をかき立てるのです。
◆5.「公認カンニングペーパー」小沢さん
 定期テストで全てこういうやり方で問題を出すのは,ちょっと無
理,いやかなり無理だとは思いますが,教科によっては出せるかも
しれませんね。普段の授業の合間に行なう小テストでは,このやり
方がかなり有効ではないでしょうか。これが積もり積もれば,定期
テストにも自信を持って臨んでくれるかもしれません。
◆6.「〈所見〉どう書いていますか?」平尾さん
 ここに書かれていることの一部は,先輩から教わったような気が
しますが,このように簡潔にわかりやすくまとめてあると助かりま
す。何を書いて,何を書かないか,一番大切なことは評価してはな
らないという視点,その子の課題については,「挑戦してみてくだ
さい」などと意欲をわかせる表現で書くなどの配慮。通知表も子ど
もの自信と意欲を育てるものであるべきですね。
◆7.「僕は天才かもしれない」山路さん
 この問題での授業記録は,しばしば掲載されますが,生徒さんた
ちがとても興味を示し,懸命に考えることがよく分かります。そし
て,みんながかしこくなった実感を持ち,たがいにそのかしこさを
認め合うのですね。科学上のよい問題はやっぱり,みんなの意欲を
引き起こし,その能力まで目覚めさせるのですね。よい問題がいか
に大切か。
 以下も興味深かった論文です。
◇8「〈誰にほめられたいかアンケート〉の結果とその考察」末丸
さん
◇9「ゆかりちゃんが〈きもい〉と言った」伴野さん
◇10「生きがいとは何か」三木さん
◇11「神社の名産地」小野さん

●後藤和哉(徳島,小学校)
◆小野健司「神社の名産地」
 よく見聞きする神社ですが,〈天満〉と〈八幡〉という名称で何
の神かがわかるというのは初めて知りました。なぜ同じ名前が付い
ているのかと思ったことがありますが,「なるほど!そういうこと
だったのか!」と思えて興味が湧いてきました。すると僕の住む徳
島にも〈八幡神社〉がありました。見つけた時はすごくうれしかっ
たです。また,知ったことのうれしさからカーナビをよく見るよう
になりました。先日,妻の実家に向かっている途中,〈八幡〉とつ
いた小学校がありました。今はこの小学校の名前がすごく気になっ
ています。
◆平尾二三夫「所見どう書いていますか?」
 学期末憂鬱になるのが所見です。何をかいていいのやら困ってし
まいます。子どもがもらって嫌な気持ちにならないようにしていま
す。そして ,〈事実〉をかくようにしています。また,予め子ど
もたちに自分で自分の通信簿をつけてもらってそれを参考に書くと
きもあります。僕の知らないとこで頑張っている子がいたりしてい
いところを再発見できます。今回の記事も大変参考になりました。

●太田一郎(熊本・小,理専)
◆三木淳男「生きがいとは何か」
 ほのぼのとしたお話でした。それぞれの仕事の中で生きがいを感
じている人たちは,本当に生き生きと生活していると思います。人
と人とのつながりの中で生かされている自分を感じることが生きが
いにつながるのでしょうね。僕も,死ぬ直前まで生きがいを感じる
ことができれば,これほど幸せなことはないと思います。
◆山路敏英「僕は天才かもしれない」
 理科の授業を通して,学校に来れなくなった翔悟くんが自分に自
信を持ち,生き生きとしてくる様子がよくわかりました。「自分は
すばらしい」と思えるためには,絶対評価相対評価の両面が必要
なのだと改めて思いました。それにしても,翔悟くんの「高校でも
天才的な理科人間になっていきます」という宣言は,とてもステキ
です。
◆竹田美紀子「通知表ってなんだろう」
 「そうだよね。〈自信と意欲〉だよね」と思って読みました。し
かし,この文章を保護者に書いて届ける竹田さんは,さすがだなあ
と思います。楽しい授業を通しての子ども達や保護者との信頼関係
があるからこそだろうなあと思います。
◆末丸千早「〈誰にほめられたいか アンケート〉の結果とその考察」
 とても意外な結果ですね。自分の学校でも,子どもたちに聞いて
みたいなあと思いました。家族との関係が大切だなあと改めて思い
ました。反面,家族との関係がうまくつくれていない子どもたち
が,学校(社会)生活に適応するのに厳しい状況に追い込まれると
いうことでもあるなあと思いました。
小原茂巳「〈テストがたのしい〉だなんて」
 授業書を終えて,きちんとテストをすることで自分自身の進歩を
感じることができ,その結果自分のスバラシサを発見できていくと
いうことがよくわかりました。人間というのは,思わず進歩したく
なる生き物なのだという板倉さんの言葉を思い出しました。仮説実
験授業を実践することを通して,人間への信頼感がお互いに深まっ
ていくのがうれしいです。
◆小沢俊一「学習意欲を高めるカンニングペーパー」
 公認カンニングペーパーというのを考えつくのは,楽しい授業
(仮説実験授業)の思想を持っている人にしかできないことなので
はと思います。結果的に子どもたちが自信と意欲を高めることがで
きればいいと思えるようになるのには,時間と経験がかなり必要だ
と思います。
◆平尾二三夫「〈所見〉どう書いていますか?」
 (1)文末を決める,
 (2)3文だけで書く,
 (3)1文に詰め込みすぎない,
という3つの方針から,具体的にどう書いていくのかが書いてある
ので,とても参考になります。そして,それ以上にその背景にある
子どもたちを大切にしていく思想に学ぶことが多かったです。
◆「ゆかりちゃんが『キモイ』って言った!」(伴野太一)
 小原さんの実践が再現性のあるものであるというのが確認できて
よかったです。根本的に子どもたちとの関係がよくないとできない
ことですが,「キモイ」と言われても,うれしく感じてしまう伴野
さんの感性がステキだなあと思いました。また,クラスのボスに正
義感で詰めよって,失敗した過去を思い出しました。アハハ!
◆「かまい・かまわれる関係」(小川 洋)
 子どもと教師の関係性の中で,お互いに「かまい・かまわれる関
係」になったことがないなあとまず思いました。小川さんも書いて
いるようにかなり微妙なさじ加減が必要ですよね。早紀ちゃんの
「小川先生のおこりかたは優しくておこられているのに得した気分
になりました」「むりにまじめになろーとか思わず,ラーメン屋の
ような担任をめざしてください」「てれくせーけど,今までありが
とう」という言葉がいいなあ。
◆「常識と反常識」(板倉聖宣
 「常識」「非常識」という言葉は日常的に使いますが,「無常
識」「半常識」「反常識」という言葉は新鮮で,使えるようになる
といいなあと思いました。「常識派が多数の時は怖い」を特に意識
しておいた方がいいなあという現在の世の中の雰囲気があるし,ど
のようなことが常識(社会的認識)となった時に,それが不幸をも
たらすかということも考えていく必要があるなあと思います。
◆「神社の名産地─天満神社八幡神社」(小野健司)
 実家の近くに八幡宮があるのを真っ先に思い出しました。小学生
の頃は,よくそこで遊んだものです。天満神社八幡神社の由来
も,全く知らなかったので,「ああ,そういうことなのか」ととて
もおもしろかったです。

●木村 寛(鹿児島,中学・理科)
 今月号は自分にとってすぐに役立ちそうなもの,共感できるもの
がたくさんありました。
◆「かまい・かまわれる関係」小川さん
 〈かまい・かまわれる関係〉とてもいいネーミングですね。こん
な関係を教師が生徒
と作れたら,周りの生徒たちもほっとできそうです。
◆「所見どう書いていますか?」平尾さん
 平尾さんの「所見の書き方」とても参考になりました。特に〈課
題〉についての書き方が良かったです。
 僕も〈否定的な内容〉は,もちろん書かないのですが,このよう
な書き方だと本人も保護者も「気持ち良く受け入れることができる
なー」と感じました。
◆「生きがいとは何か」三木さん
 自分も以前〈行きつけのバイク屋さん〉がありました。おじさん
が点検している間,おばさんが傍で手伝いながら〈オイルの話〉を
いつもするのです。もちろん道具もきれいに整理されていました。
読みながらとても懐かしく昔のこと(15年ほど前)を思い出しま
した。
◆「僕は天才かもしれない」山路さん
 授業で中学生がこんなにも〈自信〉を持てるようになるって素晴
らしいですね。
◆「〈テストが楽しい〉だなんて」小原さん
 「テストが楽しい」なんて〈普通の授業〉では,ありえないです
ね。僕も≪背骨がある動物たち≫(絵本バージョン)や〈食べ物と
イオン〉などでテストをしますが,全然いやな顔をせずに中学生は
〈テスト〉を受けてくれます。
◆「〈大人になったなぁ〉と思える出来事」 萠出さん
 同じような経験をしたことがあります。学校でもドライバーを
使って簡単な修理をしていると生徒がやりたそうな顔をしてやって
きます。やらせてあげると喜びます。そしてその修理ができるとと
ても嬉しそうにしています。
◆「ゆかりちゃんが〈キモイ〉と言った!」  伴野さん
 そのままのタイトルでとても面白かったです。おなじ〈キモイ〉
でも,そのトーンや相手によってずいぶん違うものですよね。

●高木仁志(愛知・街角かがく倶楽部:瀬戸)
 今,ボクの科学クラブ(街角かがく倶楽部合同)で吉田秀樹さん
の『ミョーバンと原子論の誕生』の第2部まで授業しています。そ
こでの評価が良かったので,この2月には第3部を授業し,第4部
は直接吉田秀樹さんに瀬戸まで来て授業してもらう予定でいます。
 その吉田さんの研究に対する姿勢から「学問的な姿勢」を学んで
います。そのことに関連して,『たの授(1月号)』の“アリがタ
イなら倉庫”で板倉先生が当時のフリーメーソンのことを「〈ウ
ソっぱちに見えることも弾圧しないような社会をつくろう。学問を
やって,本当のことを明らかにしよう〉という連中がいて,それが
フリーメーソンらしいんだ」というお話を知ると,フリーメーソン
と吉田秀樹さんの姿勢が「学問」ということでつながってきて,嬉
しい気持ちがしています。
 1月の仮説の冬の大会でボクは「認識論リレー講演会」というの
を提案しました。この「認識論」という分野にしても,「学問」と
いう位置づけが大切な気がしています。そう考えることで,板倉先
生が「常識と反常識」の101ページで,「学者とか研究者というも
のは,新しいことを言わなきゃいけません。だから,研究者という
のは,もともと〈反常識〉なんです。商売的に〈反常識〉です」と
話されていることがボクなどにも少し分かった気がしました。
 今回,ボクが研究会内で提案した「仮説実験的認識リレー講演
会」なるものもある意味で,研究会内でも〈反常識〉的なのかもし
れません。
 しかし,5ページで三木淳男さんが「生きがいとは何か」という
ことを自転車屋さんのおじいさんとのエピソードの中で書いておら
れるのを読んで,その「生きがいとは何か」ということが自分に
とっても日々問題になっていることを再確認させてもらいました。
今のボクにとっては,「ものごとを科学的に認識して生きて行きた
い」という思いがあるのです。
 26ページでは,末丸千早さんが「誰にほめられたいかアンケー
ト」というのをレポートしています。子どもたちは高学年になるに
従って,家族からほめられることを望んでいるようです。しかし,
今のボクは「最後には,自分自身にほめられたい」という気持ちが
あるように感じています。板倉先生の若き日の「絶対自己的自己賞
賛の幸福論」にとても共感する自分がいるのです。
 そんな気持ちもあって,今回「仮説実験的認識リレー講演会」を
主催していくことにしましたので,またその節はご支援いただける
と嬉しいです。

●須崎正美(埼玉,定時制高・理,講師)
小原茂巳さん「〈テストがたのしい〉なんて」
 「子どもの授業評価が,テストの前と後ではどっちがいいか」
を,学生たちの〈テスト〉体験を通して納得してもらうという方法
は,とてもスバラシイです。いつも小原さんの斬新さに感心しま
す。
◆山路敏英さん「僕は天才かもしれない」
 「〈科学のすばらしさ〉を発見することは,それを発見した〈自
分のすばらしさ〉を発見したことになる」という発見。そして,
〈他人のすばらしさの発見〉にもなるというのです。山路さん,そ
ういうすばらしさを伝えてくれてありがとうございます。
◆平尾二三夫さん「〈所見〉どう書いていますか?」
 平尾さんの「所見の書き方」は,教師にとってとても役に立つ
「作文法」だと思います。そして,それをもらう子どもたちや親に
とっても,とても気持ちよく読める所見になるのではないかと思い
ます。「所見に〈事実〉だけを書く」というのは,本当にそう思い
ます。
板倉聖宣さん「常識と反常識」
 「本当の常識とは何か」という事を考えさせられました。「非常
識」「無常識」「半常識」「反常識」「新常識」と,自由に発想を
変えていくと,新しいことが見えてきました。「反常識」が「常
識」になっていくということは,新しい未来が作られていくことに
なるのかなと思いました。

●荒居浩明(神奈川・小学校)
◆小川 洋さんの「かまい・かまわれる関係」は,いいお話でした。
 この話の後半に出てくる早紀ちゃんの出てくる菜津実ちゃんの話
は,『よくある学級のトラブル解決法』に出てきます。合わせて読
んでいただくといいなぁと思いました。新居さんの話も教師の読み
方考え方により,こうも変わるものかと思わず「へーっ,そう
かぁ」と思ってしまいました。こういうものをすぐに真似するかど
うかなどの配慮があるのもとてもいいです。そういう意味で,教育
雑誌に載るに最もふさわしい話ではないかと思ってしまいます。多
くの人に読んでほしいなぁと勧めていきます。
◆板倉先生の「常識と反常識」と,平賀幸光さんの「反常識で楽し
い世界が見える?」がとてもよかったです。
 最初にこの題名を見たときに,新任のときによく「そんなの常
識!」と言って叱られたことを思い出しました。常識だって言われ
ても,本当に今まで知らなかったんだもんなぁと思い,「常識」と
いう言葉がきらいになりそうでした。同じような言葉が「身近」で
した。「そんなたのしいとか不思議なものからやるんじゃなくて,
もっと身近なものからやらなきゃだめよ」と言われました。それで
今はたいてい「自分の身の回り」という言い方をすることが多くな
りました。「身近」って大まかに二種類の意味があるようなので。
言葉って使い方でけっこう変わるものだと思ったのもその頃です。
 〈自分の非常識を世の常識にする〉ように勉強するっておもしろ
いなぁと思いました。また〈反常識〉であるために常識を身につけ
るというのもおもしろいです。〈勇気〉と〈蛮勇〉の話も腑に落ち
ました。
 平賀さんの紹介された長岡半太郎の話もとってもよかったです。
そういう歴史があるかもしれないと考えるだけで,自分にも勇気
(笑)が出るなぁと思うからです。
◆山路敏英さんの「僕は天才かもしれない」は,感動的です。
ちょっと言葉にならないです。自分の素晴らしさに気付くというの
は,最近特にそうだと思っています。そして,私自身がすごいなぁ
と思うこともでてきました。自分に酔いしれるというのもまた大事
だなぁと思える記事でした。感謝!
◆淀井さんの「思えば遠くへ来たもんだ」。とてもよかったです。
 淀井さんが今回書かれた,新居さんの「どうせ他人の子やない
か」という話がものすごいインパクトがあり,「おおっ」という思
いでした。そう,どうも「子どものため」と美化する言葉が多く,
本当にそこまで思っているの? そう思わないことだってたくさん
ないの? と思える場面もたくさんあるからです。たのしい授業に
よって,子どもってすごいじゃない,やるじゃないって思えてく
る。そういう流れというか「新常識」が必要だなぁと思った言葉で
した。それをとてもわかりやすく書いてくれた淀井さんに感謝!
◆平尾二三夫さんの“「所見」どう書いていますか”は,とても役立
つなぁと思いました。所見の書き方のような書籍も出ていて読んだ
ことがありますが,それを読むのもたいへんとなってしまうことも
ありました。たのしい授業によって,ステキなところもたくさん見
えてきても,書き方って大事だと思うから,平尾さんの紹介してく
れたように,
 1. 文末を決める
 2. 3文だけ書く
 3. 1文に詰め込みすぎない
のように具体的かつわかりやすい指針があるととてもいいです。若
い人にもとても役立つと思います。
◆小澤俊一さんの「学習意欲を高めるカンニングペーパー」,最高
です。カンニングと言えるかどうかは微妙かもしれませんが,子ど
もたちの安心する顔が目に浮かびました。ありがとうございます。
小原茂巳さんの「〈テストがたのしい〉だなんて」。これこそ,
反常識。今は常識?
◆二宮聡介さんの「ことわざカルタでクイズ大会」。こういう実践
の積み重ねがいいです。

●岡田克己(神奈川・小,校長)
板倉聖宣「常識と反常識」
 「非常識」ではなく,「反常識」という言葉にひかれました。常
識が人や立場によって違うことは知っているつもりですが,反常識
となると,ひかれる部分もありながら,確かについていけない部分
もあります。でも,たえず常識が変わるのだから,反常識で考えて
みることも大切だなと思いました。
◆伴野太一「ゆかりちゃんが〈きもい〉っていった!」
 えみちゃんがとても生き生きとしていていい奴で,読んでいてう
れしくなりました。担任が思い悩んでいる時,解決の糸口として子
どもに頼るということも可能なんだなとわかります。えみちゃんの
すごいことは,「ゆかりちゃんも〈キモい〉って言っちゃいな!!」
と,ゆかりちゃんにうながすところです。すごいなあ。
◆三木淳男「生きがいとは何か」
 いい話でした。人には,大切にしていることがある。そのため
に,この世に生を受けているのかもしれない。そんなことに触れた
時,自分もきっと同じようなことを考えるだろうなあと思いまし
た。
◆末丸千早「〈だれにほめられたいかアンケート〉の結果とその考察」
 「親にほめられたがっている」という結果に驚きました。どちら
かというと,反抗期などが控えていて,親は煙たい存在なのだろう
と思ったからです。でも,やはり小学生は,親なのですね。親にか
わいがってもらいたい子が多いということは,逆に,親がかまって
くれない子や虐待を受けている子の辛さや悲しみも相当なもので
す。親にもこの結果をぜひ知らせたいものですね。
◆淀井泉「新たな“出発”」
 毎号楽しみにしている「思えば遠くへ来たもんだ」,またまた期
待どおりでした。ボクも,その昔新居信正さんにぶったまげつつも
強烈に影響を受けました。特に,「どうせ他人の子やないか」で
す。口に出してこそ言わないけれど,ナルホドと思っています。親
は一生向き合っていかなければならない,けど,自分は担任してい
る間だけ頑張ればいいのだからと読み替えることもできるなあと思
います。

●荒川康夫(小学校1年担任)
 1月号で印象に残った記事は次の4つです。
◆三木淳男さんの「生きがいとは何か」
 バイクが壊れた三木さんと町の自転車屋さんとの物語。面白かっ
たです。バイクの修理に自信とプライドを持って仕事をしているお
じいさん。このおじいさんの中に「生きがい」を感じたのですね。
生きがいがある人は本当に元気だし自信を持っているし,いい顔を
していると思うのです。いろんな仕事の人と付き合うっていいです
ね。
 さて,このお話を読んで自分の「生きがい」はなんだろうと考え
てしまいました。
◆山路敏英さんの「僕は天才かもしれない」
 「自分の素晴らしさを発見できる」と仮説実験授業ではよく言う
けど,実際はどういうことなんだろうと,私も山路さんと同じよう
に悩んでいました。山路さんは,子どもの感想文を手掛かりに「天
才かもしれない」などの言葉から,「自分の素晴らしさ,友だちの
素晴らしさ」を発見しているんだなあと考えるのですね。授業記録
とこの感想の編集はいいなあと思いました。
板倉聖宣さんの「常識と反常識」
 常識的なものとどう対決していくかをいつも考えていました。
 科学者は自分の反常識を持ち込んで古い常識と対決していく,そ
れが研究者の仕事だと知りました。新しい発見や,法則の提案は,
それなりの覚悟がいるのだということが分かりました。
 でも日常生活までそれを持ちこんで「儀式はつまらないもの」と
いう自分の反常識を通してしまった長岡半太郎の話はとても興味深
いものがありました。
◆小野健司さんの「神社の名産地」
 戦争志向の八幡神社と平和志向の天満宮の数と分布を調べること
によって,神社信仰に反映される人々の意識を探っていこうという
試みは面白いと思いました。時代別,地方別でも調べられていて,
人々の意識の傾向も分かるのでよかったと思います。
 日本の神社の数については,個人的に知りたいものがあります。
諏訪神社とお稲荷さん,この数もすごく多いです。この2つからも
何かが読み取れると思うのですが……いつか詳しく調べたい。

●大内瑞木(千葉,小学校)
◆山路敏英「僕は天才かもしれない」
 クラスの誰にもわからない問題。そんな問題に子どもたちは頭を
ひねりながらも,どこか嬉しそう。仮説実験授業をやっていると,
そんな場面に遭遇します。「僕は天才かもしれない」「なぜか,答
えがわかっちゃう」なんて発言や感想が出てくると,子どもたちが
本当に授業書を楽しんでくれているんだなということがわかって嬉
しくなりますね。「力と運動」の講座を受けてみたくなりました。
◆坪郷正徳「ティッシュで書」
 小学校低学年から書道を習っていた私は,書道=整った美しい字
のイメージしかなく,小学生の間は,一人で集中して,いかに基本
に忠実に,きっちり書くかということにとらわれていたような気が
します。この記事を読んで,「個性バクハツの筆」や「友達がふえ
た」「のびのび字が書けた」という感想にとても驚きました。書道
は,自由に書いたり,友達と楽しめたりするものなんだなという新
しい感覚を教えてもらいました。
◆二宮聡介「ことわざかるたでクイズ大会」
 ことわざの授業って,どうも楽しくできなかったのですが,これ
なら子どもたちも楽しんでくれそうだなと思いました。自分で作る
というところが良いですね。子どもたちの絵がとても素敵で,興味
をもって取り組めた様子が伝わってきました。

●千葉 真(大阪・小学校)
◆「カンニングペーパー」小沢さん
 とても面白い記事だと思いました。鑑賞の評価って本当によくわ
からないものです。小沢さんの文章にもありましたが,「ほぼ全員
がAになるテストをして意味があるのか」という疑問があるかもし
れないが…というのは私も思いましたが,でもいろいろなやり方が
あるというのは知っておきたいです。自分が考えもしなかった方法
でやっているというのは興味深いです。
◆「誰にほめられたいかアンケートの結果とその考察」末丸さん
 これもとても面白いと思いました。低学年だけでなく高学年も家
族から褒められたいと思っている子が多いというのが私には意外で
した。友だちが1位と思っていました。私も二児の父です。気を付
けようと思いました。私の勤務校でも機会があれば実施してみたい
と思いました。
◆「通知表ってなんだろう」竹田さん
 これも私としては親目線で読みました。この2学期末,竹田さん
と同じように娘の通知表は気になっていました。小学校での通知表
はそんなにシビアなものではありませんが,でもなんだか気になり
ます。末丸さんの記事とも関連しますが,教師がどのような通知表
をつけていようがあまり真に受けすぎないでほどほどの参考程度に
考えて,親としては褒めることだと思いました。

●宮本明弘(海外科学授業)
◆三木淳男「生きがいとは何か」 いいお話でした。その一言です。
 私は三木さんとは違い,晴れの日も,雨の日も,風の日も,この
36年間ずーとバイク通勤でした。その間に,トラックとぶつかっ
て交通事故をしたり,救急車で病院に運ばれたり,パンクして動か
なくなったり,また三木さんのように親切な自転車屋さんの老夫婦
に出会ったりと,いろいろなことがありました。
 昨年で36年間の教師生活を終えました。36年間ずっと突っ走っ
てきたので,人生についてあまり深く考えるようなことはありませ
んでした。仕事をやめてみて初めて「これから先どんな生き方をし
ていったらいいのか」考えることが多くなりました。どんな生き方
をしていけばいいのか,どんな生きがいを持ち,毎日を暮らすの
か。
 少し不安はありますが,いろいろと考えるのが楽しみという気持
ちの方がなんだか大きい気がします。それは,教師という自分の仕
事の中で仮説実験授業に出会い,自分の意志で実施するということ
を選択し,そして定年退職の歳まで子どもたちと楽しく学べたから
だと思います。これからもまだまだもっともっと学びたい。まだま
だ学びたりないから,これからもずっとしばらくは仮説実験授業と
関わっていきたいと思います。
◆平尾二三夫「所見」どう書いていますか?
 「所見」をどう書いたら良いか迷っている人や,所見を書くのが
初めてというような新任の先生方には,とてもよい例文付きのアド
バイスだと思いました。
 私が新任の頃を思い出すと,それはもう自分の思ったことをその
まま書いていました。文例集があるのも知らないで…。今は,文章
の内容も吟味しないといけないので大へんですし,気も随分使いま
す。
◆萠出 浩「大人になったなあ」と思える出来事(パッキンを交換
してみませんか?)
 大賛成です。私も,水道の蛇口が水漏れすると中のパッキンの取
り替えを自分でします。なぜ,そんなことができるのか。実は私が
子どもの時に,父親が水漏れする蛇口の修理をする手順をずっと見
ていたからなのです。一番のポイントは,水道の元栓です。これを
しっかりと閉めることができれば怖がることはありません。ですか
らどこにその元栓があるのか自分の家でも気に留めていました。つ
いこの間も水道の業者が来て新しい部品に取り替えてくれました。
お陰で,ますます仕事をするのが便利になりました。この間,実家
に帰ったときにパッキンの取り替えのことが話題になったのです
が,たまたま実家に帰っていた妹は,「そんなことができるの」
と,とても驚いていました。私にとっては,そんなに大きなことと
思ってはいなかったのですが,少し大人になった気分でうれしかっ
たです。いや,もう十分,年だけは大人なのですが…。
板倉聖宣「常識と反常識」
 「非」と「無」と「半」と「反」を使って話を進める板倉さん。
30歳前後の若いころ,年末の板倉式発想法の会に参加した時のこ
とです。そこで話題にされている言葉に,さっぱりついていけませ
んでした。なにやら哲学的と思うのですが,その「哲学的」と自分
で言っている中身が自分自身つかめない。とにかく,とても難解で
す。でも,ときに自分の世界観が一瞬のうちに広がっていく感じも
あり,爽快で,でも疑問が残る,会が終わったあともしばらく興奮
する……そういう会でした。「常識的な人」と言われるほどは常識
がない私ですが,長年仮説と付き合ってきたお陰で,少しは「非」
とか「半」とかの話についていけるようになってきました。でも,
いまだに「反磁性体」という言葉を聞いたときの何が何だか天地が
ひっくり返ったような驚きは,今でも忘れられません。……板倉さ
んの話からはずいぶん離れてしまったような感想ですが。


 編集委員ではないですが,お二方がくわしい感想を送ってくだ
さったので,ご紹介させていただきます。
●松田心一(鹿児島)
◇私好みの「今月の特選3編」です。と書いたのですが,やはり3
編に絞り込むのは骨が折れる=たのしい苦しみを味わうので,ムリ
しないことにしました。また今月から元に戻し,感じたままを書く
ことにします。
◆板倉「常識と反常識」
 「常識的な人は研究者になれない」と「反常識の覚悟と迫力」の
項は,考え方としてまた生き方として特に心を打ちました。「褒め
てくれなくていい。悪いやつだというレッテルを貼られないことが
大事」というのは,非常識なことを常識なことに変えていくための
戦術として圧倒されるし,板倉さんのこれまでの研究の実績からす
ごく説得的だと感じました。板倉先生のような超一流の研究者には
到底なれませんが,自分の身近な場所で,特に教育の現場にまた
「未来からの贈り物」である子どもたちに責任を持つ大人として,
〈これは〉と思う問題や課題ではこの「常識と反常識」の考え方を
取れるようにしてこれからを生きていきたいと思いました。
 関連した平賀さんの「反常識で楽しい世界が見える?」も,仮説
実験授業をする教師たちに勇気と自信を与える内容だと思います。
◆三木「生きがいとは何か」
 自転車屋のおじいちゃんの生き方といい,重病の元寿司職人の病
院でのイベントといい,とても心を打つお話でした。こんな素敵な
生き方があること,私などには知らない素晴らしい生き方・たのし
い生き方をしている方々をもっともっと本誌で取り上げてほしいと
感じました。人はどんな年齢でもその人のできることが世間のお役
にたつことで生きがいを見出し,自分が満足して生きていけること
がもっとも幸せな人生であること。こんなお話を生徒たちに紹介で
きることも大きな進路指導でないかと思います。そのことを肩肘張
らずに紹介できるのも本誌ならではと思います。プロスポーツ選手
やタレント,有名人,偉人だけを紹介する今の学活や道徳の副読本
などよりもずっと身近な大人に尊敬を持てる人間を育てていけるよ
うに思います。
◆小野「神社の名産地」
 天満神社天満宮が学問の神様であることは知っていましたが,
八幡神社八幡宮が戦の神様だったとは知りませんでした。しかも両
神社とも地域の偏りがあったとは! そして日露戦争後にはほぼ同
じ数だけあった両神社は,八幡神社が4割ほど減り天満神社は6割
も減って〈八幡神社天満神社よりも2倍ほど多い〉とは! 驚き
でした。こんなところにも時代の背景が漂っていたとは! ちょっ
と考えるとトーゼンの気もします。でもこうして,データとしてき
ちんと示していくことは,小野さんの言われるように「国どうしが
うまくつきあっていくためには,相手に十分に納得してもらえるよ
うなデータが必要」ということに,とてもナットクしました。
◆山路「僕は天才かもしれない」
 自分や他人のすばらしさを発見できる授業は,授業の醍醐味=
(まさしく)理想の授業,民主主義をほんとうに理解してもらえる
授業ということでしょう。「こんな授業ができるのは,今の教育界
では仮説実験授業にしかできない」とボクは思っています。これも
ボクの独りよがりとは決して言えないと思います。本誌で紹介され
る仮説実験授業をとおして子どもたち自らによる自身での変容ぶ
り。山路さんの記事も,またこのことを実証する貴重な報告資料だ
と思います。そして板倉さんが言われる(本文で引用されている)
ように,「あることができなくても,別のことで他人の役に立つこ
とがあることを自分自身で感じられるようにしなければならない。
他人が説得したってダメ。本人がそう思えなければならない」と思
います。誤った平等主義は,逆に序列化を際立たせる結果になった
り自分のダメ具合を一層自覚させてしまうことになりかねない,と
いうことをもっともっと身近な人々に伝えていかなければならない
と思います。これはまた先の三木さんの「生きがいとは何か」とも
表裏の関係にあると思うのです。
◆小原「テストが楽しいだなんて」
 「授業書の後は必ず〈テスト〉を実施し,かつ子どもたちに〈授
業評価や感想文〉を書いてもらうようになってから,僕は授業者と
しての喜びをそれまで以上に得ることができるようになった」とい
う小原さんには,全く同感です。こどもたちは小原さんが言われる
ように「テスト」によって「自分のスバラシサ発見」を体験し自信
を持ってくれるからです。中学生での実践をもとに大学生に授業し
た小原さん。サスガですね。学生さんの感想がいいですね。特に町
田香澄さんの「あえて高級な問題を選んできたのでしょう」の行
は,〈よくぞ見抜いてくれました〉とポンとヒザを叩きたくなるほ
どでした。
◆小沢「学習意欲を高める公認カンニングペーパー」
 とてもおもしろかったです。こんなんだったら鑑賞の授業も楽し
いでしょうねぇ。意欲を高めること間違いなし。他の教科でもまね
できそうです。ぜひ理科の授業(仮説実験授業ではない)でやれな
いか,検討してみたいと思わずにはいられませんでした。

●井藤伸比古(愛知,大学院院生,日本語教育
◇最初,目次を見たときは,「教員をやめた私には興味のない内容
ばかりだな」と思ったのですが,読み始めてみると,意外にも,た
くさんの記事が読めました。
◆1 三木「生きがいとは何か」
 読み始めて「あれ,表題とは中身が違う」と思ったのですが,三
木さんのドラマに引き込まれました。
 私は,昨年の春,60歳で退職しました。「再雇用」の道もあっ
たのですが,そちらには進まず,新しい道を見つけることにしまし
た。
 千葉に住む友人の一人も,60歳でやめてエステティシャンの道
に進みました。彼女はさかんに「65歳になってから新しい道を見
つけようと思っても,もう体力がなくなっている」といいます。さ
らに「人生は3つのステージがある」という話もしてくれました。
第1ステージ(0〜30歳)「時間あり,お金なし」
第2ステージ(30〜60歳)「時間なし,お金あり」
第3ステージ(60歳〜90歳)「時間あり,お金あり」
ということで,私は「90歳まで働くぞ」と決意して,60歳で教員
をやめることにしました。
 今は,大学院で「日本語教育」を勉強しながら,外国人のための
日本語教室を始めています。海外から,トヨタ自動車に転勤できて
いる外国人のファミリーに日本語を教えているのです。
 三木さんの話に出てくるおじさん(おじいさん)も,ホンダに勤
めて,岡山でバイクの修理をし,それを「退職」して,「自転車修
理」というライフワークを見つけたのでしょう。
 すてきなお話でした。何となく,新美南吉の「おじいさんのラン
プ」を思い浮かべながら,心に燈りがともったような気がしまし
た。
◆2 小野「神社の名産地」
 「いい文章になったんだな」と感動しました。私は,小野さんの
元原稿を見ていて,「『たのしい授業』に載せるといいテーマだけ
ど,原稿に手を加えないとだめだろうな」と思っていたのです。直
したのは,小野さんですか? 編集部ですか? きっと小野さん自
身でしょう。
 特に,「現在の八幡神社天満神社の数」は,ぼくも調べたので
すが,しっかりした数が得られず,そこでストップしてしまいまし
た。小野さんは,さずが沢柳の研究者。沢柳の調査を元に,現在の
資料も付け加えてあります。
 文章の出だしも,「小学校の数」と比較する,のも良かった。
 何よりもよかったのは,決めの一言でしょう。「国どうしがうま
くつきあっていくためには,相手に十分に納得してもらえるような
データが必要です」。
 私は,大学院で社会の科学系の学問を学んでいますが,小野さん
の最後の一言は重かったです。
 ともかく哲学的に納得できるグラフは良いです。
 
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
仮説社のメールマガジンをお読みくださいましてありがとうござい
ます。弊社発行の月刊誌『たのしい授業』や書籍をお読みくださっ
ている読者のみなさまや,仮説実験授業を実践,あるいはこれから
実践してみたいと考えている方などに,弊社の新刊情報を少しでも
早くお知らせできたらと思い,このようなメールマガジンを発行し
ています。そのほかにも,『たのしい授業』の情報,新しい実験器
具やおもちゃの情報もいち早くお伝えできればと思っています。当
メールマガジンへのご要望などございましたら,下記メールアドレ
スにお寄せくださいますようお願いいたします。
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